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関西電力100%子会社の「関西電力送配電」。電柱の変圧器の基準超過PCBの存在を「上司の指示に基づき隠蔽」。環境への漏洩⇒健康被害のリスクを軽視。相次ぐ関電子会社の不祥事(RIEF)

2024-10-02 16:23:42

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 関西電力の100%子会社の「関西電力送配電」は、長年にわたり、電柱に設置する変圧器の一部から健康被害を引き起こす有害化学物質のPCB(ポリ塩化ビフェニール)が国の基準超過状態にあることを把握しながら、国や大阪府には虚偽の報告をして汚染の実態を隠蔽してきたことがわかった。隠ぺい工作は当時の担当上司の指示に基づく。指示していた現副社長の高市和明氏は辞任した。関電子会社の不祥事では、先月、調査子会社が環境省からの委託業務を無断で他業者に再委託し、人件費水増し等の不正操作を行っていたことも判明している。相次ぐ不祥事発覚は、関電のグループガバナンスが機能していないことを示すもので、公益事業体としての存在意義が問われる。

 

 PCBは、不燃性、電気絶縁性が高いことなどから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙などに多用に使用されてきた。体内に入ると健康被害を引き起こすことから、現在は製造・輸入ともに禁止されている。国ではその処理期限を何度も延長してきたが、現在は2027年3月末までとして、使用企業に代替、除去を求めている。https://rief-jp.org/ct12/118374?ctid=

 

 関電送配電によると、同社は1990年以降、電柱に設置している柱上変圧器に含まれるPCBの処理方法について、「新品変圧器への交換」「除染修理による変圧器の再利用」の選択肢のうち、コストの低い後者の方式で取り換えを進めていたという。その際、2018年の台風21号の影響で倒壊した電柱の変圧器からPCBが国の基準を上回って検出されたことから、翌19年から「新品交換」方式に切り替えた。

 

 ところが、同社はすでに1998年ごろに、再利用した変圧器の一部から、国の基準値を超えるPCBが検出されていたことを把握していたのに、その事実は国には知らせていなかった。さらに、19年の新品交換への切り替え時に、過去に基準超過を把握していたPCBについて、19年時点で新たに発覚したとの虚偽説明を、国や大阪府等に行っていたという。https://rief-jp.org/ct12/67764?ctid=

 

 当時の配電部門のトップだった高市氏が、以前から変圧器のPCB濃度超過を把握していた事実を隠蔽するように現場に指示していたとされ、国や大阪府に対する報告もそうした指示に基づいて虚偽の内容としていた。しかし、こうした事態は、2023年11月にもたらされた内部通報によって判明した。

 

 高市氏は責任を取って辞任したほか、同社社長の白銀隆之氏は記者会見で「コンプライアンスの徹底をはかる中で起きたことを大変重く受け止めている。原因究明をしっかりと行って、再発を防止したい」などと述べ、陳謝した。

 

 先行する形で、不正が発覚した別の関電子会社のKANSOテクノスは、2023年度に環境省から受託したCO2の回収貯留(CCS)事業に関する事業を、環境省の承認を得ないまま、他の4社に再委託し、その費用の4200万円を捻出するため、同省に要求する人件費などとして、実際に再委託でかかった費用よりも1861万円多い6061万円分、請求していたとされる。しかも同社の不正工作は約15年前から続いていた可能性もあるという。https://rief-jp.org/ct5/148774?ctid=72

 

 関電の両子会社の不祥事は、子会社内部でのガバナンスが全く機能せず、むしろ不正を温存する方向で上司の指示が現場に示されていた点で共通する。さらに親会社の関電によるグループガバナンス機能も全く不全といえる。子会社のトップは常に親会社の意向に沿った業務運営に終始し、親会社の関電は公益事業体として持つべき環境・社会への配慮を欠く体質のままのようだ。

 

 関電自体、一昨年には、関電送配電が国の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)によって売電を認められた新電力会社等を、関電送配電の送配電網に系統接続する際のデータへの関電社員の不正アクセスを容認していたことが発覚している。関電社員が「親会社の権限」で常時実施していたとみられる。小売電力販売で、関電のライバル会社となるFIT電力会社の顧客情報を入手する目的だった。関電だけでなく、他の大手電力も同様に、経済産業省の送配電業務分離政策の不備を悪用して、親会社が不正情報アクセスを重ねていた。https://rief-jp.org/ct10/132933?ctid=

 

 関電グループだけではなく、既存大手電力会社は、電力供給という公益的な役割を担っていることの意味を改めて自らで問い直すべきだろう。岸田政権が「目こぼし」してきた、こうした電力会社への「甘い姿勢」を、石破政権が正すことが出来るかどうか。総選挙後に政権を握る政党がどこかはまだわからないが、わが国の電力業界の「不健全体質」は与野党間の政治的課題ではなく、日本の産業インフラを支える企業体のガバナンスの欠如であり、日本経済の競争力の弱体化の象徴でもある。抜本改革は急務だ。

                          (藤井良広)

https://www.kansai-td.co.jp/corporate/press-release/2024/pdf/1001_2j_01.pdf

https://www.kansai-td.co.jp/corporate/information/2024/pdf/important_20241001.pdf