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各地の中小日本酒メーカー、コロナウイルス対策の消毒液に「代用」できる高濃度アルコール商品相次いで開発。厚労省も容認。大手アルコール飲料メーカーの動きは鈍し(RIEF)

2020-04-12 00:13:11

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 新型コロナウイルス感染で、コンビニや薬局からマスクとともにアルコール消毒液が消えて久しいが、日本酒メーカーが保有するアルコール製造ラインを活用して消毒用の高濃度アルコール製品を代用品として開発、市場への供給を始めた。大手企業が厚生労働省の医薬品医療機器等法のカベに阻まれて、消毒液を生産できない中で、「お酒」として販売する妙手で消費者の需要に答えている。

 

 (写真は、高濃度アルコールの「ウォッカ」を製造する明利酒類の生産ライン)

 

 各紙の報道によると、江戸末期の安政年間創業という老舗の日本酒メーカーの明利酒類(茨城県水戸市)は、日本酒「副将軍」、焼酎「漫遊記」等のブランドでお酒を製造販売しているが6日から、アルコール度数65%という高濃度の商品(ウオッカ)を販売した。

 

 「メイリの65%」と名付けられた同商品はあくまで「飲用」。実際は、新型コロナウイルスの感染を防ぐ消毒用アルコールの代用品としての使用を目指している。同社の販売部課長代理の加藤木敦氏は「アルコール原料も販売している中で、得意先から何かできないかとの声もあり、開発した。外出自粛で家飲みが増えることから、あくまでドリンクとしての商品」と話している。

 

明利酒類(水戸市)の建物の一部
明利酒類(水戸市)の建物の一部

 

 明利酒類が、「飲用」と断ったうえで、消毒用アルコールを製造するのは、現行の医薬品医療機器等法では消毒液も医薬品、医薬部外品として製造認可などの規制を受けるためだ。今回のような緊急の状況でも、簡単に製造できない仕組みになっている。しかし、欧米では、酒造メーカー等が保有するアルコールを活用して消毒液への転用を図るなどのニュースが相次いでいる。http://rief-jp.org/ct12/100413

 

 法のカベがあるから、と言って、この緊急事態で手をこまぬいてはいられない。そこで同社だけでなく日本中の日本酒メーカーが「代用品」の開発に動いている。

 

 高知県安芸市の菊水酒造は、日本酒や焼酎、リキュール、ラム酒など幅広く製造しており、原料のアルコールを活用して、アルコール度数77%の高濃度スピリッツ「アルコール77」を10日から出荷を始めた。また富山栃波市の若鶴酒造も度数77%の「砺波野スピリッツ77」を13日に発売予定だ。

 

飲んでもよし。でも77°ですから、水で割ってください。
飲んでもよし。でも77°ですから、水で割ってください。

 

 通常の消毒液に使われるエタノールもアルコールの一種。高濃度アルコールの消毒効果は、ウイルス除去に十分な効果を発揮できる。若鶴酒造は「エタノールの供給が不足している状況の中、アルコールを製造することができる酒造メーカーとして、この商品を製造供給することとした」としている。週約1000本を製造、北陸を中心とした医療機関や若鶴酒造直営店、ドラッグストアに優先的に供給する方針という。

 

 酒造メーカーの高濃度アルコールは、消毒や除菌目的で製造された商品ではないとの但し書きが付けられている。消毒効果をうたうこともできず、実際は飲まないのに酒税もかかる。

 

 それでも酒造メーカーの熱意に、厚生労働省も3月下旬、ようやく臨時措置として、高濃度アルコール商品を消毒用の代用品として使ってもいいとの見解を示した。日本病院会に向けても、会員への周知を促した。すでに消費者からは「消毒用」製品の代替品としての「おサケ」への関心は高く、日本酒各社のサイトにはネット等で全国から問い合わせが殺到しているという。

 

 中小の日本酒メーカーが奮闘する中で、サントリーやキリン等の大手アルコール飲料メーカーの動きは鈍い。サントリーは米国とスペインで消毒液の生産を行っているが、国内では、厚生労働省のカベに阻まれた形で、今も「検討中」のまま。http://rief-jp.org/ct12/100733?ctid=74

 

 消毒液の製造メーカーである花王は、ようやく9日に、シャンプーなどを製造している自社の別工場に生産を広げて製造力を高めることを決めた。だが、実際に増産できるのは4月後半からという具合に「緊急感」を欠いている。非常事態宣言下の自宅待機では、日本酒を買って、手を消毒しつつ、ちびりちびり飲んで、胃の中も消毒することにしようかーー。http://rief-jp.org/ct11/101218

 

http://www.meirishurui.com/20200213-2-2-2/

https://jp.sake-times.com/special/press/p_meiri65

https://www.wakatsuru.co.jp/archives/1672