タイの国立公園内で、死んだ野生のゾウの体内から、大量の廃プラスチック。消化器官に詰まり炎症を起こしたとみられる。過去にクジラ、ジュゴンも死亡。海も山も廃プラ汚染で被害(各紙)
2020-07-13 11:58:36
各紙の報道によると、タイの東部のチャタブリン県のラジャマンガラ大学近くの国立公園内で、野生のゾウが死んでいるのが見つかった。解剖したところ、胃などから大量のプラスチックが見つかった。廃棄されたプラスチックゴミを食べたことで、消化器官に詰まり重度の炎症を起こし、死につながったとみられる。タイではこれまでも、海岸に打ち上げられたクジラやジュゴンから廃プラが見つかっている。海の生き物も、陸の生き物も、人間が放置した廃プラで汚染され、命を縮めていることが改めて確認された。
(写真は、タイの国立公園内で見つかった若いゾウの死体)
バンコクポストの報道によると、タイの国立公園・野生動物・植物保全局は、8日にゾウの死体が見つかったという。雄で体重約3.5㌧、18~20歳と推定される。同ゾウは2日ほど排せつをした形跡がなく、解剖の結果、消化器官に重度の炎症があったほか、胃はガスがたまって膨張していた。体には目立った外傷はなかった。さらに詳細な死因の分析を急ぐ方針。
タイの自然資源・環境大臣のVarawut Silpa-archa氏は、「プラスチックゴミを削減するキャンペーンを展開しているが、それを無視する人々が多い。人々が気付くまでにどれだけの数の動物たちが死ななければならないのか。残念だ」と語っている。
タイでは2018年5月に、南部の沿岸部で、若いクジラ(コビレゴンドウ)が弱って保護された。その後、衰弱して死亡した体内から、8kgの廃プラスチックが見つかり、大きな社会問題となった。体内に取り込んだプラスチックが炎症を起こしたことが死因とみられた。https://rief-jp.org/ct12/79838?ctid=75
さらに昨年7月、別の海岸でジュゴンの赤ちゃんが保護され、「Mariam(マリアム)」と名付けられて国民的人気となったが、その後、死亡。体内からプラスチックゴミが見つかった。空腹で食べたプラスチックゴミの影響で腹部が炎症を起こしたことが死因とされた。https://rief-jp.org/ct12/92874
マリアムの死後、タイ政府は廃プラスチック撲滅の「マリアム計画」を立ち上げ、人々にプラスチックゴミを捨てないようキャンペーンを展開してきた。キャンペーンでは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでのプラスチック袋の提供を禁止するなどの措置も実施している。日本のような有料化よりも厳しい措置だ。
これらの措置により、プラスチック袋の使用量は月間37億5000万袋の削減につながっているという。しかし、それでもまだplasticゴミを平気で、森林地帯などに廃棄する人々が減らないのが政府にとっての悩みになっている。