HOME |国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)のオンライン会議開始。来年4月の「本会議」に先駆けて、準備と論点整理へ。中国「環境リーダーシップ」発揮目指す(RIEF) |

国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)のオンライン会議開始。来年4月の「本会議」に先駆けて、準備と論点整理へ。中国「環境リーダーシップ」発揮目指す(RIEF)

2021-10-11 23:57:48

CBD001キャプチャ

 

  国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は11日からオンライン会議を始めた。同会議は新型コロナウイルス感染拡大のため、昨年開催予定が2度延期され、さらに今回もまずオンライン会議を開いたのちに、来年4月に物理的な会議を中国・昆明で開くという変則な形になっている。

 

 11日午後から始まったオンライン会議は15日までの5日間の開催。さらに来年4月25日から5月8日までの2週間にわたって「本会議」を開く予定だ。先行的に開く今回のオンライン会議では、COPの議長交代等の実務的な手続き・決定事項を中心に議論を進め、来年4月の本会議に備えることを目指す。https://rief-jp.org/ct12/117082?ctid=65

 

 生物多様性条約(CBD)事務局長のエリザベス・ムレマ氏はオープニングステートメントで「われわれはついにCOP15の『ファーストパート』に取り組む」と延期が続いたCOP15の開始を宣言した。その中で、COP14の議長だったエジプトの環境相のYasmine Fouad氏から、中国の生態環境相のHuang Runqiu氏への議長交代を告げた。

 

 そのうえで同氏は「コロナ禍は人の健康と種の健康、そして我々のエコシステムの間の連携への注意を強く喚起させた。地球上の生命を保護することは、真にグローバル課題であり、すべての人類に影響するものは、我々すべてが『ホーム』と呼ぶこの小さな惑星上のすべての種にも影響する」と述べた。

 

 来年4月に対面方式で開く本会議では、先進国と途上国の間での新たな「グローバル生物多様性フレームワーク」のターゲットの設定が最大の焦点となる。現行の愛知議定書に代わる新フレームワークでは、2030年までのターゲットとして、①世界の陸上と海洋のうち、特に保全が必要な地域を中心にして最小でも30%を保全②人為で劣化が進んだ地域の少なくとも20%を回復・再生――など21の行動ターゲットを設定する予定だ。

 

 COP15は当初、昨年10月に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年5月に延期、その後、10月に再延期されていた。https://rief-jp.org/ct12/116751?ctid=65

 

 生物多様性条約(CBD)は、世界の195カ国とEUが批准している。だが米国は加わっていない。米国は世界最大の自然改変国と指摘される。代わりに今回のCOP15を主宰する中国が取りまとめに力を入れている。「気候変動のCOP26は米欧主導だが、CBDは中国がリードする」というわけだ。ただ、中国は温室効果ガスの世界最大の排出国でもある。

 

 中国は環境リーダーシップを内外に宣言するため、今週中に、来年4月の本会議で採択する「昆明宣言(Kunming Declaration)」案を公表すると期待されている。

https://www.cbd.int/meetings/COP-15

https://www.cbd.int/doc/speech/2021/sp-2021-10-11-cop15-en.pdf