HOME12.その他 |中国での国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)、実質議論を来年上半期に延期。10月はオンラインで調整会議とする2段階方式に。コロナ禍次第で依然、流動性を残す(RIEF) |

中国での国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)、実質議論を来年上半期に延期。10月はオンラインで調整会議とする2段階方式に。コロナ禍次第で依然、流動性を残す(RIEF)

2021-08-19 02:30:03

COP15キャプチャ

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、10月の開催が危ぶまれていた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は、主要な会議は来年上半期に延期するとともに、手続き的な調整を行うオンライン会議を予定通り10月に開く2段階開催とすることが決まった。COP15はコロナの影響ですでに2度延期されており、3度目の単純延期だと会議の盛り上がりを欠くことを懸念した主催国の中国が、オンライン会議との併用を主導したとみられる。ただ、来年上半期でコロナ禍を克服できているかは不明で、依然、流動性を残している。

 

 (写真は、昨年9月30日の国連生物多様性サミットで発言するグテレス国連事務総長)

 

 中国の生態環境局は18日、COP15を10月11~15日と、来年の上半期に分けて開催すると発表した。10月の開催はオンライン会議とし、来年の会議は昆明での対面会議とする。COP15は当初、昨年10月に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年5月に延期、その後、10月に再延期されていた。https://rief-jp.org/ct12/116751?ctid=65

 

 今回の発表で、10月に一応、会議を開くが、オンライン会議として、内容も、議長の交代等の、手続き・事務的な決定事項が中心とする。会議日程も当初の10月11~24日の2週間から、5日間に短縮する。先進国と途上国の間で焦点となる新たな「グローバル生物多様性フレームワーク」のターゲットの設定を巡る議論は、来年上半期に対面形式で行う。現在のところ、2022年の4月25日~5月8日の2週間が予定されている。

 

 現行の愛知議定書に代わる新たなフレームワークとしては、2030年までのターゲットとして、①世界の陸上と海洋のうち、特に保全が必要な地域を中心にして最小でも30%を保全②人為で劣化が進んだ地域の少なくとも20%を回復・再生――など21の行動ターゲットを設定する予定だ。

 

 中国の生態環境局は、今回示した2段階方式での開催を実行できるよう、国内のコロナ禍対策や、事務的作業の整備等への対応を進め、開催実現に努力することを表明している。

 中国グリーンピースの政策アドバイザー、Li Shuo氏は「生物多様性危機の緊急性が高まっている中で、国際的な交渉が遅れることは望ましくない。しかし、グローバルなコロナ禍の中で、かつ会議を成功させるには対面式の会議の必要性の大きさを考えれば、今回の決定は避けられない選択だ」と指摘している。

 英国の太平洋州担当相のZac Goldsmith氏も「今回の延期は、われわれが生物多様性危機への挑戦のためにペダルを踏むのを止めることを意味しない。G7では、自然保護へのファイナンスの促進、森林伐採を阻止するグローバルサプライチェーンの改善、2030年までに世界の土地と海洋の30%を保全する等の目標で合意した。次のG20首脳会議でも、また気候変動のCOP26でも、自然の保全と回復への取り組みが課題となる」と述べ、生物多様性課題への国際的取り組みが進行していることを強調している。

 COP15の度重なる延期の原因であるコロナ禍は、自然のウイルスが人に感染したためとみられており、中国がその発端になったとの指摘が根強い。人類は長年にわたって、自然資源を自分たちに都合よく利用することだけを追求してきた。今回の再々延期の期間を、「自然利用の限度」を自分たちに課し、人類と、人類以外の生態系とのバランスを取り戻すための「リードタイム」として活用できるかどうかだが。

https://mp.weixin.qq.com/s/Og1tY8MMEYdkpUpvjQRc0A