日本イコモス国内委員会。神宮外苑再開発問題で「内苑と外苑の一体的保存」のため、生態系保全が深刻な内苑を明治神宮が国に寄付し国立公園化することを提案。神宮の財政負担軽減で(RIEF)
2024-10-09 17:29:21
(写真は、左から2人目が日本イコモス国内委員会理事の東京大学名誉教授の石川幹子氏)
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」の日本支部「日本イコモス国内委員会」は9日、議論が続く東京・外苑再開発問題で、外苑の多くを所有する明治神宮が同地再開発の理由とする財政負担問題を解決するため、同神宮が所有する内苑の森を国に寄付する提案を公表した。内苑の森自体が、水不足と「ナラ枯れ」で課題を抱えることが神宮の財政負担につながっているとし、解決のためには同地を国に寄付し、国立公園等での管理に切り替えるべきとした。内苑と外苑の自然を一体的に管理することで、都市の緑地保全を持続可能にする考え方だ。
日本イコモス国内委員会理事の石川幹子東京大名誉教授が日本外国特派員協会で記者会見して明らかにした。石川氏らは、再開発事業を推進する三井不動産らが9月に伐採樹木の本数を124本減らすことを柱とした修正案について、「大きな樹木を伐採し、代わりに小さな樹木を多く植えて本数を増やしても、森が豊かになるわけではない」と指摘。さらに修正案では歩道橋の幅を狭めたことで、緊急時の人命の安全性に影響する懸念も示した。https://rief-jp.org/ct12/148626
石川氏らが事業者の修正案の代わりに示したのが「内苑・外苑を『一体の森(a pair of forests)』として位置づけ、世界にも稀な都市の森を維持するための提案」だ。神宮につながる形で形成されている現在の内苑の森は、世界にも例をみない大都市内にある森として知られる。
しかし、内苑の森の生態観察を続けている石川氏によると、同森は構造上の問題から水不足に陥っており、域内に2本ある川はすでに枯れ、池の水も減少している。さらに常緑広葉樹のクヌギやシイなどが、国内の各地の森と同様に、今猛威を振るっている「ナラ枯れ」を起こしている。これらの森の生態系の管理は、所有者の神宮にとって大きな財政的負担だと述べた。
そこで、内苑も外苑も、元々は国有地だったことも踏まえて、内苑を国に寄付して国が公園等として管理することにすれば、神宮の財政負担は軽減するので、神宮が外苑の土地や土地の容積率等を開発事業者に売却して再開発に加担しなくても済み、内苑の森と外苑の自然の維持を両立できる、としている。内苑の森が国立公園になった場合、管理は国が引き受ける一方で、森自体は神宮と一体的につながった状態に変わりはなく、神宮にとって「失うもの」はないといえる。
元々、神宮も外苑も国有地だったのを、国が神宮に譲渡したものでもある。特に外苑については、戦後になって、当初は国有地のままスポーツ施設を集積させる市民憩いの場とする文部省(当時)の案があったが、神宮が役所を巻き込んだ陳情攻勢の挙句に「神宮と外苑は一体」として、1952年に土地の譲渡を受けた経緯がある。東京新聞によると、その際、文部省は神宮に施設運営を認める代わりに4つの条件を課したという。https://www.tokyo-np.co.jp/article/266703
それらは①国民が公平に使用できる②アマチュアスポーツの趣旨にのっとり、使用料・入場料を極めて低廉にする③施設を絶えず補修する経費の見通しがある④民主的運営をするーーである。現在のビジネス優先の再開発計画や、市民スポーツよりも商業的イベント重視の施設計画、再開発案づくりの過程での「市民排除」のプロセス等は、この条件にそぐわないとの指摘もある。

































Research Institute for Environmental Finance