三井物産主導の「北海道バイオマスエネルギー社」、特別清算に。負債総額約39億6200万円。原料の木材価格高騰の影響で経営困難に。負債の大半は北洋銀行からの借入金(RIEF)
2024-10-30 13:00:37
(写真は、北海道バイオマスエネルギー社のHPから)
三井物産と北海道電力が共同出資して設立した北海道バイオマスエネルギー(北海道・上川郡下川町)が、旭川地裁から特別清算開始決定を受けたことがわかった。負債総額は約39億6200万円。同社は燃料となる原木を道内にある三井物産の社有林等から調達して木質ペレットを自前で製造し発電してきたが、コロナ禍の影響で世界の木材グローバルサプライチェーンの流れが停滞し、価格が高騰するウッドショックの影響で、経営が困難に陥っていた。負債の大半は北洋銀行からの借入金となる。
帝国データバンクなどが伝えた。旭川地裁の特別清算開始の決定は10月15日付。同社はすでに今年3月末に事業を停止し、8月20日の株主総会で解散を決議している。https://rief-jp.org/ct1/144248?ctid=
同社は、三井物産が主導する形で2017年に設立された。下川町に、最大出力1815kWの発電設備を設置、燃料も物産の社有林を中心として、北海道内から集めた間伐材等を原料として、年産1万5000㌧の木質ペレットを自ら製造してきた。発電した電力は固定価格買い取り制度(FIT)を利用して全量を北海道電力に売電してきた。2021年には石川管内の当別町でも、最大出力990kWの発電所を稼働させた。
同社の経営悪化の最大の要因は、ウッドショックによる。同社は国内の自前の山林からの原木を原料としてきたが、ここ数年の木材価格高騰の影響で、ペレット化する木材価格がコスト増となり、採算悪化に陥っていたとされる。同社の負債の大半は北洋銀行からの借入金で、同行の3月の発表では、同社に対する債権36億9600万円(23年3月期時点)が取り立て不能に陥っているとしている。ただ同行はこれらの債権に対しては必要な引当金を積んでいるとしている。