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北洋銀行。北海道内での三井物産と北海道電力による共同出資「バイオマス発電所」が木材価格高騰の影響で採算悪化。約37億円取り立て不能の恐れ(各紙)

2024-04-02 15:34:35

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写真は、北海道バイオマスエネルギーの上川バイオマス発電所=北海道新聞より)

 各紙の報道によると、北洋銀行は1日、3月末で、木材価格の高騰によるコスト増で事業を停止した北海道バイオマスエネルギー(上川管内下川町)に対する債権36億9600万円の取り立てができないか、あるいは遅延する恐れがあると発表した。同発電所は国内の未利用間伐材等を加工して製造する木質ペレットを燃料としてきたが、ここ数年の木材価格高騰の影響で、ペレット化する木材価格がコスト増となり、採算悪化に陥っていた。
 北海道バイオマスエネルギー社は、三井物産(8割)と、北海道電力(2割)が共同出資して2017年に設立された。同社は下川町に、最大出力1815kWの発電設備を設置、燃料も北海道内から集めた間伐材等を原料に年産1万5000㌧の木質ペレットを自前で製造してきた。発電した電力は固定価格買い取り制度(FIT)を利用して全量を北海道電力に売電する仕組みをとってきた。2021年には石川管内の当別町でも、最大出力990kWの発電所を稼働させせてきた。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、2020年前後から世界の木材グローバルサプライチェーンの流れが停滞し、その結果、木材の供給が滞り、価格が高騰する状態が続いていた。海外の木材価格の高騰は国内木材の価格にも波及し、同社の発電採算の悪化を招いた。

 このため同社は、3月末で、両発電設備の運転を休止した。23年3月期の債務超過額は34億8600万円とされる。北洋銀の債権は同社への貸出金で、同行は事業休止を受けて返済が予定通り行われない恐れがあると判断しているという。ただ、同行はすでに必要な引当金を積んでおり、24年3月期の動向の業績予想については修正しない方針。

 北海道バイオマスエネルギーの再建の見通しについては、塚田聡社長は「引き続き株主間で対応を協議していく」と話していると伝えられる。三井物産、北海道電力の両社が再建策を検討するものとみられる。現時点では、操業を再開するか、事業撤退に踏み切るか等の方針は決まっていないとしている。