https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/saisei/shingikaikaisaijyokyo.html
https://www.pref.miyagi.jp/documents/21238/r4_3_shiryo1_1.pdf
2022-11-24 00:32:53
宮城県は22日、再生可能エネルギーの発電施設開発に伴う森林伐採を抑制するため発電事業者に対する課税案を審議する有識者会議の初会合を開いた。再エネ事業に伴う周辺環境や生活への影響を抑えるため、自治体が課税する動きは岡山県美作市の「事業用発電パネル税」の条例制定に次ぐ動き。宮城県では2023年6月の県議会へ条例案を提出し、可決されれば24年4月に導入する方針という。
(写真は、宮城・山形県境で計画していた風力発電事業で、地元住民の反対で事業者の関西電力が事業断念を報道する地元テレビの映像より)
有識者会議は学識経験者等5人の専門家で構成する。会議は来春にも意見をとりまとめる。新税に対する同県の「素案」は「森林を開発する再エネ施設に課税することで、事業者に経済的な負担が重くなる状況を作り、大規模森林開発の抑制と、平野の未利用地などへの適地誘導を図る」としている。
県では今回立ち上げた有識者会議の意見を元に、県の再エネに関する審議会に改めて諮問し、2023年6月の県議会への関連条例案の提出を目指すとしている。議会で可決されれば、24年4月に導入する予定だ。すでに稼働中や建設中の風力発電、太陽光発電などの施設には課税しない方針。
再エネ事業に対する自治体の課税の動きは、昨年12月に岡山県美作市の市議会が事業用太陽光パネルへの課税条例案を可決成立させ、議論を全国に巻き起こした。同市の条例は出力10kW以上の事業用再エネ発電設備を対象とした法定外目的税で、パネル面積1㎡当たり年間50円を課税する。年間想定税収約1.1億円を再エネ施設周辺の環境保全や防災費用に充当する内容だ。https://rief-jp.org/ct5/121082
美作市では23年度の導入を目指したが、自治体が独自の条例を定めて課す「法定外税」の場合、総務省の同意が必要となる。同市の方針に対しては、県内で事業を推進する事業者側が猛反発したことから、総務省は協議不十分として、今年6月に市に対して、事業者側と再協議するよう異例の通知を出し、宙に浮いた形になっている。
国は温室効果ガス排出量削減目標として掲げる2030年46%削減(2013年比)の達成のためにも、再エネ発電を後押ししたい考えだ。だが、各地の自治体では再エネ事業と環境保全、生活環境の維持との調整が課題となっており、再エネ課税を導入して進めるかどうかが争点化している。そうした中で、宮城県が改めて課税方針を打ち出したわけだ。
村井嘉浩宮城県知事はこれまでも県議会で、県内の森林を開発して太陽光や風力等の再エネ発電事業を展開する事業者に課税する方針を示している。今回の有識者会議への「諮問」に際しても、同知事は「再エネの普及は非常に重要だが、環境破壊、住民の不安につながってはいけない」と強調している。
県内では、太陽光や風力発電を中心に建設計画をめぐって、環境破壊や景観悪化につながることを懸念する地元住民らが反発して、事業者と対立するケースが増えている。今年7月には関西電力が宮城県と山形県境で計画していた風力発電事業計画に対して、地元の反対を解消できないとして計画断念を発表している。8月にはオリックスも、同様に事業断念を表明している。https://rief-jp.org/ct10/127086
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