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バイデン米大統領、温暖化対策でメタン排出量を削減する「グローバルメタンプレッジ(誓約: GMP)」を正式発表。2030年までに世界全体で30%削減。COP26で参加国公表へ(RIEF)

2021-09-18 11:54:09

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  バイデン米大統領は17日、エネルギーと気候問題で各国の首脳級とオンライン会合を開いた。その中で同大統領は気候変動への取り組みとして、CO2と並ぶ温室効果ガス(GHG)であるメタンの排出量を2030年までに世界全体で現状より30%削減する取り組みを始めると正式に発表した。同取り組みはEUと連携するもので、「グローバルメタンプレッジ(誓約:GMP)」をして、他の国々の参加も求めていく。同取り組みについては本サイトですでに報じている。https://rief-jp.org/ct8/118041?ctid=71

 

 今回のオンラインでのサミット会合は、10月末から英国・グラスゴーで開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けて、イギリスで開催される気候変動対策の国連の会議COP26に向けて、各国の取り組みを後押しする目的で開いた。日本の菅首相はビデオメッセージを送った。

 

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 この中でバイデン氏は、米国の取り組みとして、GHG排出量を2030年までに50~52%削減(2005年比)する公約を強調したうえで、メタン排出削減についての国際共同行動を正式に打ち出した。メタンは温暖化係数が100年間ではCO2の28倍、20年間では約84倍と影響が大きいことで知られる。

 

  メタンは温暖化に及ぼす影響の23%分を担うとされる。温暖化係数がCO2より高い一方で、大気中の残存期間は約10年とCO2よりも短い。したがって、早期の対策をとれば温暖化の進行を抑制する効果が期待される。

 

 メタン発生量は過去10年で世界全体で9%増。発生源には湿原、湖沼等からの自然起源と、化石燃料(生産と消費)、農業活動や廃棄物部門からの人為起源がある。人為起源の割合は総排出量の約60%と半分以上だ。自然起源の排出量は大きく変動しておらず、人為起源の排出量がメタン増加の要因だ。

 

 バイデン氏は「2030年までの30%削減」の誓約について、「これだけでは地球の温暖化を急減させることにはならない。しかし、メタン削減のプラスの効果として、人々の健康と農業生産物の改善効果も期待される。先進国だけでなく、途上国のGMPへの参加も求めていきたい。新たなビジネスチャンスにもなる」と強調した。

 

 各国での取り組みとしては、化石燃料採掘時のメタン漏洩を防ぐほか、農場や廃掘削地での廃棄井戸等の閉鎖等を指摘した。GMPの共同行動として、化石燃料生産の多い国や、畜産業が盛んな国、廃棄物処理が課題の国等の参加を呼び掛ける。サウジアラビア、ロシア、カタール、ノルウェー、中国、ブラジル、インド、ニュージーランド、南アフリカ、英国等がターゲットだ。COP26でGMPの正式スタートが決まる見通し。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2021/09/17/remarks-by-president-biden-at-virtual-meeting-of-the-major-economies-forum-on-energy-and-climate/