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8月の世界の平均気温、昨年8月と同率で過去最高値に。この夏の北半球の「6~8月」は過去最高の「暑い夏」だった。年間でも過去最も「暑い年」になる見通し。冬は暖冬に(RIEF)

2024-09-06 14:39:33

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上図は、産業革命前に比して、世界の平均気温の上昇の度合いの推移=C3Sより)

 

  8月の世界の陸上での平均気温は16.82℃で、これまで月間最高気温だった昨年の8月と同じレベルで、同率最高値となった。EUの気候監視ネットワーク、コペルニクス気候変動サービス(C3S)が公表した。C3Sの観測では、昨年6月から13カ月連続で続いていた月間最高気温の更新が7月(過去2位)でいったん途切れたが、8月に再び同率最高値となり、依然、記録的な暑さが続いていることを示した。7月の平均気温については、米海洋大気局(NOAA)の観測では「史上最も暑かった」としている。

 

 C3Sによると、8月の世界の平均気温の16.82℃は、1991~2020 年の8月の平均気温を 0.71℃上回った。産業革命前の水準に比べると1.51℃を上回った。世界全体の地表面の平均気温が産業革命前のレベルを 1.5℃以上、上回った月としては過去のうちで、13回目の月となった。https://rief-jp.org/ct12/147784?ctid=

 

 6月から8月まで「夏」の期間を過ごした北半球の3カ月間の世界平均気温では、1991~2020年平均を0.69℃上回り、昨年6~8月の記録(0.66℃)を0.03℃上回った。観測史上では、過去最高の「暑い夏」だったことになる。

 

世界全体での8月の平均気温の度合い
世界全体での8月の平均気温の度合い

 

 過去12か月間(2023年9月~2024年8月)の平均気温も、1991~2020年の平均を0.76℃上回るとともに、1850~1900年の産業革命前の平均気温も1.64℃上回った。1年間(12か月間)の平均気温としては過去最高を更新したことになる。

 

 今年に入ってからの年間(2024 年1~8月)の平均気温は、1991~2020 年平均を 0.70℃上回り、昨年同期よりも0.23℃高く、年初来の平均気温としては過去最高値だった。2024年の平均気温が昨年を下回るためには、今後の年末までの4カ月間で、平均気温が少なくとも0.30℃下がる必要があるが、この夏の暑さや、さらに4カ月で0.30℃の気温の低下は過去の観測でも一度も起きていないこと等から、2024年は年間を通しても過去「最も暑い一年」になることはほぼ間違いがないとみられる。残りの4カ月についても、気温の低下は見込めず、記録的な暖冬になる可能性が指摘されている。

 

 主な地域ごとにみると、オーストラリア、中国の複数の省、ノルウェーの北極圏にあるスヴァールバル諸島(Svalbard Islands)等の8月の気温は、いずれも観測史上最高を更新した。日本の夏(6〜8月)も観測史上最も暑い夏だった。欧州の8月の平均気温は、1991~2020年の8月の平均気温を1.57℃上回った。特に南欧と東欧で最も高く、アイルランドと英国北西部、ポルトガル西海岸、ノルウェー南部などでは平年を下回った。

 

 東欧のルーマニア、セルビア、ボスニアなどでは、熱波が発生し、最高気温は41℃に達した。イタリアとポルトガルも熱波に見舞われ、スペインでは山火事が多発した。スイスのティチーノ州でも記録的な気温となった。

 

 北米のテキサス州、メキシコ、カナダ、アフリカ北東部、イラン、南極大陸東部などは平年を上回り、米国東部、南米南部、ロシア極東部とアラスカ、パキスタン、サヘルでは平年を下回った。

 

海洋の平均気温の推移
世界の海面の平均温度の推移

 

 8月の海面水温は、南緯60°から北緯60°の間では平均20.91℃で、観測史上最高だった昨年8月より0.07℃低いだけで、2番目に高い水準だった。太平洋赤道域の海面水温は平年を下回り、ラニーニャ現象の発生を示したが、全海洋の海面水温は平年より低く推移した。

 

 C3Sと米NOAAの観測値が異なるのは、対象とする気象データが一部異なるため。NOAAは、今年の7月も観測史上最も暑く、月ごとの世界平均気温は7月時点で、14か月連続で過去最高を更新したと発表している。https://rief-jp.org/ct8/147879?ctid=

https://climate.copernicus.eu/surface-air-temperature-august-2024