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内外の環境NGOによるアジアでのガス火力事業推進の日本企業4社への株主提案。うち、三井住友フィナンシャルグループには、定款に「グリーンウォッシュ抑制策」の明記を求める(RIEF)

2022-04-13 14:25:55

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   内外の環境NGOが三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)に対して提出した株主提案では、同社が表明している「2050年ネットゼロ」目標達成の誓約と、現状の投融資行動が一貫性を欠かないための「グリーンウォッシュ」抑制策を定款に記載するよう求めている。その内容は①投融資ポートフォリオにおいて、短期(2025年まで)、 中期(2030年まで)の温室効果ガス削減⽬標を含む事業計画を策定する②国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロ排出シナリオに沿って、新規の化⽯燃料供給、関 連インフラ設備の拡⼤等への投融資を行わないー-の2点だ。

 

 株主提案によると、同社の定款に新たに「脱炭素社会への移行」と題した章を設け、その中で①(パリ協定⽬標と整合する中期および短期の温室効果ガス削減⽬標を含む事業計画の策定開⽰) ②IEAによるネットゼロ排出シナリオと⼀貫性ある貸付等、の条項を設定する、ことを要請している。①については、短期中期の削減⽬標の進捗状況を年次報告書で開⽰することも求めている。

 

 提案理由としては、①については、⽇本政府の策定した「2050 年ネットゼロ」⽬標および同社のすべての投融資ポートフォリオを含めたネ ットゼロ⽬標を達成するには、具体的な短期および中期の⽬標の設定を伴う事業計画の策定は必須、としている。また、削減⽬標の進捗状況を年次に開⽰することにより、同社からの資⾦の流れが⽬標に適合する ことを確実にできる、としている。

 

 ②については、IEAシナリオにおけるリスクは幅広く認知されており、パリ協定の1.5℃⽬標達成のためには、新規の⽯油・ガス⽥および炭鉱開発、これらに関連する新規インフラ開発を⾏う余地がないことが気候科学の知⾒から明らかになっている、と指摘。SMBCは、2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出をネットゼロにする⽬標を掲げながら、化⽯燃料の拡⼤を促進する案件に引き続き多額の資⾦提供を続けており、同社が移⾏リスク を適切に管理し、脱炭素社会への流れをけん引する⾦融機関となるためにも、同条項を定款に追加することを提案する、としている。

 

 わかり易く言えば、「2050ネットゼロ」目標を掲げながら、足元ではCO2排出増加を加速する事業に投融資を続けており、目標達成と行動が矛盾しているとの指摘だ。もっとわかり易く言えば、SMBCの「ネットゼロ目標」はこのままでは「グリーンウォッシュ」と見做されるとの警告でもある。

 

 この指摘は、SMBCだけにではなく、同様に長期目標でネットゼロを掲げながら、足元では火力発電事業等に投融資を積み重ねている他のメガバンクや保険会社、政府系金融機関等にも共通する課題といえる。

 

国際環境NGO 350 Japan 【プレスリリース】国内外の環境NGOが国内4企業に株主提案〜日本企業は過去最多の気候変動関連株主提案に直面〜 | 国際環境NGO 350 Japan

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