HOME4.市場・運用 |農林中央金庫。全国の森林組合が創出するカーボンクレジットの仲介事業第一号。大分の森林組合のJ-クレジットを西部ガスへ。森林組合のクレジットを含め、2030年度には森林組合全体の吸収量を年間900万㌧に(RIEF) |

農林中央金庫。全国の森林組合が創出するカーボンクレジットの仲介事業第一号。大分の森林組合のJ-クレジットを西部ガスへ。森林組合のクレジットを含め、2030年度には森林組合全体の吸収量を年間900万㌧に(RIEF)

2023-12-01 00:13:01

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 農林中央金庫は、「農林水産業由来」の自然資本にフォーカスしたカーボンクレジットの媒介業務に乗り出した。地球温暖化対策に取り組む企業等のオフセットニーズに応えるとともに、農林水産業への資金循環をサポートする。第一号として、大分県中津市の山国川流域森林組合が森林管理によって創出したJ-クレジットを西部ガス(福岡市)に購入する売買契約を仲介した。農林中金が支援する全国の森林組合等が創出する「森林由来のCO2吸収量」については、クレジットを含め、2030年度時点で年間900万㌧とする目標を立てている。

 農林中金は、今年1月、JForest 全国森林組合連合会との間で、 森林・林業のグリーン成長化、カーボンニュートラル社会への貢献を目的に、「森林由来クレジットにおける連携協定」を結ぶとともに、森林由来クレジットのプラットフォームを立ち上げている。

農林中金のクレジット仲介目標
農林中金が支援する森林組合によるCO2吸収量の目標

 同金庫では、企業の脱炭素に向けたカーボンクレジットニーズと、農林水産業への資金循環支援を連携させることで、「カーボンニュートラル社会の実現」 「自然資本への貢献」「生産者所得の向上」を目指すとしている。「『脱 炭素』と『生物多様性』の双方への貢献を意識したクレジット創出が今後のカーボンクレジット市場においても不可欠。クレジットを通じ適切に自然資本に資金が循環するために、全国の農 林水産業ネットワークに強みを持つ農林中金がクレジッ ト取引にかかる橋渡しをしていく」と位置付けている。

 第一号の仲介取引となった大分県の山国川流域森林組合が創出したクレジットは、同組合が基盤とする山国町での森林総合管理プロジェクトによって森林のCO2吸収力を整備・強化することで、J-クレジットの認証を取得したものだ。同組合では、クレジット販売により得られた収益を、森林の間伐や伐採後の再造林などの森林保全活動のほか、2023年7月の九州北部豪雨で被害を受けた林道の復旧などに活用することで、森林資源の循環利用に取り組んでいくとしている。

山国川森林組合
山国川流域森林組合のサイトから

 山国川は、源流を大分県中津市山国町英彦山(標高1200m)とし、同市山国町、耶馬溪町を流れて、周防灘に注ぐ延長56km、流域面積540㎢の一級河川。森林組合は同河川沿いの豊かな森林を管理している。組合員数4525人、森林面積37944ha。森林資源を有効活用し、持続可能な森林経営の推進、森林の持つ水源涵養・国土保全等の機能の維持等に取り組んでいる。

 西部ガスは、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて「ガスの脱炭素化」に取り組んでおり、同取り組みの一環としてクレジットを活用していくとしている。同社が森林関連のJ-クレジットを調達するのは初めて。

 農林中金は、中長期目標として「投融資先等のGHG排出量削減 2050年ネットゼロ」を掲げており、中間目標の2030年度は投資について49%削減(2019年度比)、融資については電力セクター向けの場合、2020年度のCO2e排出量をkWh当たり217gから、30年度には23~36%削減の138~165gに引き下げるとしている。農林中金自体の事業活動に伴うGHG排出量は2030年度にネットゼロ化を目指している。

(注)本記事は、2023年12月4日午後9時45分に一部を修正、更新しました。

https://www.nochubank.or.jp/news/news_release/2023/post-969.html

https://www.nochubank.or.jp/sustainability/management/highlight/

https://hd.saibugas.co.jp/news_release/detail/2023/nr037.html?_ga=2.87235288.1777327298.1701352992-1320480119.1701352991