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みずほフィナンシャルグループ。投融資先のネットゼロに向けた産業別中間目標に、自動車と海運を追加。自動車産業の目標設定は3メガで初。移行対象産業の再エネ取り組みも支援へ(RIEF)

2023-12-18 16:53:10

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 みずほフィナンシャルグループは18日、投融資ポートフォリオのネットゼロに向けた産業別温室効果ガス(GHG)排出量削減目標に、自動車と海運セクターを追加したと発表した。国連ネットゼロ銀行同盟(NZBA)に加盟する銀行は投融資先産業のGHG中間目標の設定を求められている。日本のメガバンクも、これまで、電力、石油・ガス等の目標を公表しているが、自動車産業については、みずほが初めて。みずほは、高炭素集約型産業のトランジション(移行)ファイナンスの対象に、当該企業が取り組む事業が再生可能エネルギー事業のような明確なリーン事業である場合も対象とすることを盛り込んだ。

 

  NZBAへの署名金融機関は、2050年ネットゼロの目標設定に加えて、投融資ポートフォリオにおける高炭素集約型産業向けのfinanced emissionsの中間目標の設定が求められる。これまでみずほは、電力、石油・ガス、石炭採掘(一般炭)セクターの目標を定めている。今回、これらに加えて、自動車と海運セクターを追加した。また、今年度中に、 鉄鋼、不動産セクターも目標を設定し、2024年度初めに開示するとしている。

 

 メガバンク各行では、NZBAに沿って、すでに電力、石油・ガス、石炭等については共通的に開示している。加えて、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)は、不動産、鉄鋼、海運の各産業を開示しており、三井住友フィナンシャルグループは、今年度中に鉄鋼、自動車、不動産について目標を設定する方針を示している。

 

 みずほが今回公表した自動車産業の中間目標は、対象となる自動車会社のScope1・2とScope3(カテゴリー11:自動車使用時の排出量)に分けて設定している。前者については、30年度で38%削減(2021年度比)とし、後者は31%~43%減(同)とする。評価指標は、Scope1・2は絶対排出量 (kt CO2e)、Scope3は新⾞の平均排出原単位 (g CO2e/vkm)とする。

 

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 みずほは、自動車セクターの削減目標を設定した理由として「同セクターは、世界のエネルギー消費部⾨からのCO2排出量の 約16%を占め、 みずほの Financed Emissionsでも約8%を占める多排出セクター。⾃動⾞は⼈々の⽣活や経済活動における重要な基盤であり、⾃動⾞の需要は2050年に向けて増加が⾒込まれることも踏まえ、 実体経済の移⾏促進には同セクターの脱炭素化が不可⽋」としている。

 

 目標達成のための取り組みとして、①取引先の自動車メーカーへのエンゲージメントを通じ、当該企業の移⾏への対応状況を確認、脱炭素・電動化に向けた自動車⼯場でのカーボンニュートラル化を⽀援②地域のエネルギー特性も踏まえた、低排出⾃動⾞の開発・販売の⽀援③エネルギー供給サイド(電⼒、⽯油・ガスセクター)での排出削減 取り組み支援――等をあげている。

 

 海運セクターの排出量は、船舶の運航時の排出量が全体の98%を占めることから、 船舶の運航によるScope1の排出量の⽬標を設定した。対象とする船舶は、内航船を除き総トン数5,000㌧以上とする。当該船舶を担保とする融資を対象。ポセイドン原則に基づき、各船舶の気候変動整合度にみずほの融資比率を掛け合わせて算出した「ポートフォリオ気候変動整合度」が2030年度にはゼロに等しくなることを目指す。

 

 高炭素集約型産業の事業構造転換等を後押しする「トランジション支援の枠組み」では、これまでは当該企業の移行戦略の信頼性や透明性が確認できることを支援の条件としていたが、今回は、同企業が再エネ等のグリーンな事業に取り組む場合も、積極的に支援を行うとした。

https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20231218_2release_jp.pdf