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サハリンⅡ:シェル・英銀行団による補償を求め、地元住民・NGOが異議申し立て(FOE)

2012-08-30 11:34:06

サハリンⅡのプロジェクトサイト
サハリンⅡのプロジェクトサイト


(FGWがすでに報じた(http://financegreenwatch.org/jp/?p=15235)サハリンⅡに伴う地域コミュニティへの影響についてのレポートをFOEが翻訳しましたので、紹介します。なおこのレポートでは日本の金融機関については触れていませんが、NGOは日本の金融機関にも同様の要求をしています):  2012年7月31日、サハリンのNGO「サハリン環境ウォッチ」、および、サハリンⅡのLNGプラント周辺住民の団体である「Stroitel」は、アメリカのNGOの支援を受け、シェルや英銀行団がOECD多国籍企業行動指針に違反しているとして、オランダとイギリスのOECD連絡窓口に異議申し立てを行ないました。

同異議申し立てでは、シェルや英・民間銀行3行が、サハリンⅡによって引き起こした生活破壊や環境被害について、十分かつ正当な補償措置を行なっていないことが指摘されています。

サハリンIIのLNGプラント操業以降、サハリン南部のプリゴロドノエのLNGプラントから半径1.2kmに位置するコミュニティーの住民からは、果物や野菜の収穫量が著しく減少している等の被害が報告されており、NGOからも『よき隣人―ある抵抗運動の続く物語』(2010年)というレポートが発表されてきました。
>レポートはコチラ

同事業に融資を行っている日本の国際協力銀行(JBIC)および民間銀行も、今回の地元住民・NGOによる異議申し立てを真摯に受け止め、早急な事実関係の確認と適切な対応をとることが求められます。

 

以下、サハリン環境ウォッチ等NGOによるプレスリリース(翻訳)です。
pdf版はコチラ






サハリン環境ウォッチパシフィック・エンバイロメントアカウンタビリティ・カウンセル 

共同プレスリリース

 

サハリン II 石油・天然ガス開発事業により生じた被害に対し、ロイヤル・ダッチ・シェル社と複数の英系金融機関に周辺住民の移転と正当な補償を求める異議申立て


2012 年 7 月 31 日 ロシア、サハリン - 本日、甚大な環境汚染を引き起こしているサハリンの液化天然ガス(以下、 LNG )プラントと石油・天然ガス輸出ターミナル周辺地域の住民は、経済協力開発機構(以下、 OECD )の多国籍企業行動指針(以下、ガイドライン)を遵守していないとして、ロイヤル・ダッチ・シェル社と大手英系金融機関 3 行(ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(以下 RBS )、スタンダード・チャータード銀行、バークレイズ銀行)に対する異議申し立てを行なった。

 

プリゴロドノエ生産基地と呼ばれる大規模 LNG プラントと輸出ターミナルは、世界最大級の石油・天然ガス統合開発事業サハリン II の一環として建設され、サハリン・エナジー社(以下 SEIC )が運営している。被害地域の住民を代表するサハリンの環境保護団体、サハリン環境ウォッチ代表ドミトリー・リシツィン氏によれば、「プリゴロドノエ生産基地の建設と操業は、住民の健康や食の安全を脅かし、地域の環境資源を汚染し破壊するなど、周辺地域に甚大な被害をもたらした。生産基地からわずか 1.2 キロメートルの地域の住民には、ロシア憲法や OECD ガイドラインなどの国際基準に違反し、住民移転の措置も正当な補償も行われていない。」とのことだ。

 

OECD はガイドラインを作成して、人権や環境などの分野において、責任ある事業活動を行うための基準を設けている。今回の異議申し立ては、オランダとイギリスの OECD 連絡窓口(以下、 NCP )に提出された。 NCP はガイドライン遵守を推進するとともに、ガイドライン違反に対する異議申し立てを受け付ける政府機関である。

 

「シェル、 RBS, 、スタンダード・チャータード、バークレイズは、プリゴロドノエ生産基地が引き起こした環境破壊と地域社会へ与えた被害に対する共同責任がある。」サハリン環境ウォッチと緊密に連携するアメリカのパシフィック・エンバイロメントの政策担当ディレクター、ダグ・ノーレン氏は説明する。「シェルとこれらの銀行団は、サハリン II 事業に携わる多国籍企業という点では氷山の一角にすぎないが、同事業に参加する企業の中では、大きな影響力を持っている。」シェルはオランダに本社を置くイギリス法人で、同事業の主要ステークホルダーであり、 RBS,  スタンダード・チャータード、バークレイズはイギリスの大手金融機関だ。ノーレン氏はまた、「オランダ、イギリス両国の NCP が、シェルとこれらの銀行団に規定の国際環境基準と人権基準を確実に遵守させることが重要だ。」と述べる。

 

「 SEIC や同事業への融資者との長年に渡る交渉が不調に終わり、地域住民はイギリス、オランダ両国 NCP の関与を要求している。」今回の異議申し立てを支援したアメリカのアカウンタビリティ・カウンセルの弁護士サラ・シン氏はこう説明する。「シェル、 RBS 、スタンダード・チャータード、バークレイズは、今までのところ、事業運営者に対してその多大な影響力を行使し、同事業に伴う環境破壊・人権侵害を是正させることに失敗している。」

 

詳細に関する連絡先:


Dmitry Lisitsyn , Chairman of Council, Sakhalin Environment Watch: +7 4242 461416,


sakhalinwatch@gmail.com , http://www.sakhalin.environment.ru/en/index.php


Doug Norlen , Policy Director, PacificEnvironment: +1.202.465.1650, dnorlen@pacificenvironment.org


Sarah Singh , Attorney, Accountability Counsel: +1.415.296.6761, sarah@accountabilitycounsel.org


 


(翻訳: FoE Japan ボランティア)



http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sakhalin/doc/20120731.html