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泊・川内・志賀の3原発、再稼働候補に 伊方に追加  保安院、8月までに審査 (各紙)かさにかかってきた・・

2012-06-17 08:11:37

nikkei96958A9C93819595E3E4E2E2878DE3E4E2E4E0E2E3E09F9FEAE2E2E2-DSXBZO4269436017062012I00001-PN1-15
経済産業省原子力安全・保安院は3つの原子力発電所のストレステスト(耐性調査)結果の審査を8月までに終える方針を固めた。北海道電力泊原発(北海道)、九州電力川内原発(鹿児島県)、北陸電力志賀原発(石川県)の5基で、審査済みの四国電力伊方原発(愛媛県)とともに、再稼働の有力候補になる。16日に再稼働が決まった関西電力大飯原発(福井県)の次に向けた具体的作業が動き出す。

政府は原子力安全行政を強化するため、保安院の業務を9月までに発足予定の原子力規制委員会などに引き継ぐ。保安院が「妥当」と評価しても再稼働の是非は規制委が改めて判断する。再稼働は早くても今冬以降になる見通し。冬の電力需要に間に合うかが次の焦点になる。


 新たな再稼働候補になるのは泊1、2号機、川内1、2号機、志賀2号機。保安院は7月にも各原発を現地調査し、その後、専門家の意見聴取会に審査書の案を提示する。8月中に3原発のストレステスト結果の審査を終える考え。




 ストレステストは昨年7月、政府が再稼働に向け各電力会社に実施を要請した。結果について保安院と原子力安全委員会が二重審査をする仕組みを導入した。現在、11原発22基が結果を提出済みだ。




 大飯3、4号機は保安院と安全委が審査した後、首相と関係閣僚が暫定的な判断基準に基づいて再稼働を決めた。伊方3号機については3月に保安院が「妥当」としたが、安全委が評価を保留し、再稼働の判断には至っていない。9月以降は規制委が原発の再稼働を判断する。ただ、東京電力福島第1原発事故を受けた新しい安全基準を定めるのは、来年にずれ込む。このため、当面は現行の保安院による審査を引き継ぐとみられ、まず、伊方を含めた4原発の再稼働を先行判断する可能性が高い。


 しかし、規制委の顔ぶれは決まっておらず、再稼働に向け新組織が具体的にどのような審査体制をとるかも未知数だ。立地自治体の同意や周辺自治体の理解を得るのに手間取ることも考えられ、政府の思惑通りに再稼働が進むかどうかは不透明だ。




 今回、大飯に次ぐ再稼働候補となった4原発は、いずれも電力需給が逼迫している地域への電力供給を担っている。冬の電力不足が心配されており、政府は再稼働を急ぐ必要があると判断した。それ以外の原発の年内の再稼働は厳しい情勢だ。




 大飯や伊方、泊、川内は、福島第1とは異なる加圧水型と呼ぶ原発。型式の違いから、再稼働にあたり国民の理解を得やすいとの見方もある。志賀は福島第1と同じ沸騰水型だが、津波のリスクが少ない日本海側に立地している。





 ▼ストレステスト 東日本大震災を受けて原子力発電所の安全性を再確認するため、政府が欧州の事例を参考に昨年7月、電力会社に要請した。地震や津波に対して建屋や重要機器がどこまで耐えられるかをコンピューターで解析する。定期検査で止まった原発のうち再稼働の準備が整った原発が対象で、再稼働の条件の一つになっている。
政府はさらに詳細に調査して弱点を見つける2次評価の結果を昨年末までに提出するよう電力会社に求めていたが、再稼働が遅れたことから提出例はまだない。国際原子力機関(IAEA)は1月、日本の審査方法を妥当と評価した。