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原発輸出への抗議を日本のNGOが応援――ベトナムで報道(FOE)

2012-06-26 00:43:51

ベトナムの原発建設予定地の看板
ベトナムの原発建設予定地の看板


ベトナムの市民グループが日本政府宛てに、ベトナムでの原発建設の技術支援に抗議する手紙を提出した後、日本のNGO FoE Japanが日本とベトナムに対して計画の撤回を要求する声を上げたことが、現地で報道されました。6月19日、クイン・チー、RFA (Radio Free Asia)記者による報告です。

ベトナムは日本と同じ間違いを犯す(もし原発を建設すれば)

団体「FoE Japan」(Friends of Earth Japan)は、日本の野田佳彦首相およ びベトナムのグエン・タン・ズン氏に宛てた手紙を最近送ったばかりだ。その中 で、両政府に対し、ベトナム国民グループの建議書に返答するよう要求してい る。このグループはベトナムの人士たちから構成され、ニントゥアン原発建設へ の日本の技術支援に反対している。

Friends of Earth は国際NGOであり、40年以上に渡って世界各国で活動して いる。専門は環境問題である。日本でこの団体は以前より原子力発電に反対の声を上げてきた。特に2011年3月のフクシマの原発事故以降はさらに強く反対して いる。

RFAのインタビューに応え、団体の原子力エネルギー政策担当のヨシダアキコ氏は、なぜ日本政府のベトナムでの原発建設支援に反対する手紙に注目したのかその理由を語ってくれた。

ヨシダアキコ氏
「私たちはすでにフクシマの原発を通して放射能事故を経験してきました。私たちは一旦原発事故が起これば、もうどうにも制御できないということが分かったのです。」

2012年6月4日付の手紙で、「FoE Japan」は「日本では、福島原発事故の悲惨で深刻な事故は未だ収束せず、多くの人々が苦しんでいます。」と述べ、ベトナムももし原発を輸入すれば「日本と同じ過ちを犯す」ことと「人々に危険のなかでの生活を強いる」ようになることを心配していると強調している。

昨年12月、日本はいくつかの国に原発を輸出するための原子力協定に署名したが、そのなかにベトナムも含まれている。このことは、日本の原発輸出政策がフクシマの事故後も変わっていないことを示している。この事故で政府は3000万人以上の人々を移動させることになったにもかかわらず。ヨシダアキコ氏によると、原発輸出関連企業はこれまでずっと脱原発に反対してきたという。

「菅直人前首相は日本は脱原発すべきだと宣言しましたが、原発輸出関連企業はずっとこれに反対してきました。政府は原発が地球温暖化と温室効果ガスの削減の手段だと言っていますが、それは正しくありません。」

原発を臨時に一時停止したあと、これまでも原発支援の観点を持っていた野田佳彦首相は、先週、いくつかの原子炉の再稼動を呼びかけた。昨年の事故に影響を受けなかったかのように。しかしながら、日本の責任者はエネルギー需要とこの桜の国の国民の願望との調整をする必要がある。現在日本の700万人以上の人々が脱原発要求の署名をしている。これはノーベル文学賞受賞者の大江健三郎が提唱したものだ。

ニントゥアンでの原発建設を支援する日本政府に抗議する建議書に対し、FoE Japanが応援をした事は、多くの人々に感激を与えた。エンジニアのグエン・フン氏は、日本政府に反対する手紙の提唱者3名のうちのひとりだが、オーストラリアより次のように語っている。

「我々は、日本人が我々の運動を知ってくれたことに非常に興奮し、うれしく思いました。これこそが我々の目的だったのです。」

*ニントゥアン原発建設への日本の支援に反対する建議書*

日本政府への抗議文は2012年5月21日に送付された。宛先は日本の首相、外務大臣と在ベトナム日本大使館である。その主要な内容は、日本政府に対し「民族差別的で、無責任で、利己的で、非人道的な行動をやめる」ように提議している。

原発事故の後、日本はいくつかの原発を止めて、全部の原発の安全検査を実施した。今年5月はじめ、日本は全部の原発の停止を完了し、全国の原子力発電を臨時に止めた。それと同時に、日本はベトナムへの100億米ドルの借款に同意し、日本の各企業にベトナムへの原発の設備と技術の輸出を許可した。

ベトナム国民の抗議文は、日本が工業技術の非常に発達した国であるにもかかわらず、原発事故を防ぐことができなかったとし、ベトナムのような技術レベルの低い国としては非常に心配だとはっきり述べている。グエン・フン氏はさらに次のように述べた。

「我々は、ベトナムの技術レベルが原発の運転にはまだ十分でないと考えます。原発は事故が起これば大変なことになります。非常に広大な地域に影響を及ぼし、後々の世代にまでそれが及ぶのです。ベトナムは別の方法で全国に供給する電力を生産することができると我々は考えます。」

抗議文は科学的な分析をするものではなく、歴史上の数々の原発事故から考えられる潜在的な危険性を提起している。この手紙を書く主たる目的はベトナムと日本の両国で世論を喚起することにある。現在までの時点で、日本政府のニン トゥアン原発建設支援に反対する建議書は600名以上の署名を集めた。この数字は原発の潜在的危険性に比べるとわずかなものかもしれない。しかしながら、グエン・フン氏によるとベトナム人の署名は、現状に照らすとこの数字以上の価値がある。

「このような国の条件のなかでのベトナム人の署名は、他の国、たとえば日本のような国の署名に比べて100倍か1000倍の価値を持つといえるだろう。」

5月下旬の国会審議において、菅直人前首相は再度、反原発の声を上げ、原発事故のこのような大きな被害はとても容認できないとした。氏はどのような原発も絶対的に安全だとは保証できないとしている。反対に、氏はこれらの原発を安全にしようと思ったら方法はただひとつ、「もうそれに頼らず、それを捨てていくこと」しかないと言う。菅直人氏の発言と日本国民の反対運動は、政界の多くの人々と日本国民が原発に反対していることを示している。グエン・フン氏によると、ここからベトナムの原発の状況への関心を引く機会を広げることができるかもしれない。

「我々は現在、もう1通別の手紙を日本国会宛に送ろうと準備中である。それにより、彼らがベトナムに原発建設の支援をするのを撤回してくれることに期待している。」

さらに述べると、グエン・スアン・ジエン博士(ハンノム研究所所属)はグエン・テー・フン教授(ダナン)、グエン・フン技師(オーストラリア)とともに日本政府への抗議文を執筆した3名のうちのひとりだが、この手紙が正式にグエン・スアン・ジエン氏のブログ上に公開された後、5月中旬に氏は自称傷病兵のグループに恐喝され、ブログから手紙を削除するよう脅された。

古戦兵紙上の発表によると、自称傷病兵の数人の人物が、反原発は国への妨害に当たるとしている。現在までのところ、ハンノム研究所で5月18日に起こった事件についてこれと逆行する情報が多く寄せられている。

「FoE Japan」による応援の手紙では、この団体はベトナム政府に対し建議への返答を要求すること以外に、「グエン(スアン・ジエン)博士とその他の国民が、建議書に署名したことにより被害を受けないことを保証するように」と要求している。

原文はこちら
http://baovetoquoc.blogspot.com.au/2012/06/to-chuc-nhat-ban-ung-ho-viet-nam-phanoi.html

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http://www.foejapan.org/energy/news/120625.html