HOME10.電力・エネルギー |ロシアのウクライナ侵攻で、同国の風力、太陽光等の再エネ施設のほぼ半数が破壊・停止の状態に。原発占拠に続くロシアの攻撃でエネルギーインフラ壊滅寸前。「略奪」の情報も(RIEF) |

ロシアのウクライナ侵攻で、同国の風力、太陽光等の再エネ施設のほぼ半数が破壊・停止の状態に。原発占拠に続くロシアの攻撃でエネルギーインフラ壊滅寸前。「略奪」の情報も(RIEF)

2022-03-12 14:40:25

ukurainawindキャプチャ

 

   ロシア軍によるウクライナの原発占拠が国際的な懸念を呼んでいるが、ロシア軍の攻勢でウクライナ各地に点在する風力発電、太陽光発電等の再生可能エネルギー発電設備のほぼ半数に相当する47%分も、破壊や停止状態に陥っていることがわかった。ウクライナ再生可能エネルギー協会(UARE)は「ロシア軍は原発に続いてウクライナの電力システムを破壊し、国民生活を機能不全に陥れる戦略をとっている」と批判している。

 

 ウクライナは過去10年にわたって、総額120億㌦以上を投じて、再エネ発電を強化してきた。今年の初め時点で再エネ発電量は9.5GWとなっている。しかしこのうち資産額で56億㌦分は交戦地区に位置しており、さらに36億㌦分がその隣接地に立地しているという。

 

 UAREによると、これらのうち、風力発電設備の89%はロシア軍とウクライナ軍が交戦する 南ウクライナのザボリージャ、ヘルソン、ムィコラーイウ、オデッサ島の地域に設置されており、残りの9%も戦闘地の近くに立地している。すでにこれらの国内の風力発電ファームの半分以上は戦闘の拡大を受けて発電を停止している。

 

再エネの種類別の立地状況(UARE調べ)
再エネの種類別の立地状況(UARE調べ)緑は交戦地域、赤はその近接地域

 

 太陽光発電についても、陸地設置型の37%、屋根置き型の35%、バイオマス発電の48%は戦闘地域に立地しており、いずれも発電の継続が困難になっている。戦闘地の隣接地にも、それぞれ34%、19%、42%が設置されている。またバイオガス発電や、小水力発電(HPP)もそれぞれ29%、16%が交戦地区に設置されているという。

 

 これらの再エネ発電設備の一部はすでにロシア軍の攻撃によって損傷したり破壊されているほか、多くが操業停止状態に陥っている。UAREによると、これらの操業を停止した発電所や、再エネ電力の変電、送電する電力網等について、進軍してきたロシア軍が、発電所の設備やケーブル等を盗み出しているという。本当だとすると、略奪行為になる。

 

 戦争では攻撃側は電力等のインフラを押さえるというのが一つの戦略上の鉄則でもある。すでにチェルノブイリ原発や南ウクライナのザボリージャ原発等がロシア軍によって制圧されているほか、ロシア軍の空爆で火力発電所や送電網、ガスパイプライン、燃料貯蔵施設、その他のエネルギーインフラ設備が攻撃を受け、破壊されている。

 

 しかし、UAREはロシア軍による一方的な侵攻による電力インフラの破壊に対しては、ロシア側の責任の明確化と、補償を国際司法裁判所で求める、との姿勢を打ち出している。

 

https://uare.com.ua/en/novyny/801-of-the-ukraine-s-renewable-energy-sector-is-threatened-with-destruction-due-to-russia-s-military-aggression-2.html

https://uare.com.ua/en/