HOME10.電力・エネルギー |東電、日本原燃向け債務保証320億円縮小(各紙) |

東電、日本原燃向け債務保証320億円縮小(各紙)

2012-07-05 07:42:25

日本原燃の六ヶ所村再処理工場
日本原燃の六ヶ所村再処理工場


各紙の報道によると、原子力発電所で使う核燃料の再処理などを手掛ける日本原燃(青森県六ケ所村)に対する東京電力の債務保証額が、1年間で約320億円減っていたことがわかった。東電は福島第1原発事故後に信用力が大幅に悪化、債務保証も縮小せざるを得なかったもよう。今後は他電力が東電分の肩代わりを迫られる可能性があり、各社の財務面での負担が重くなりそうだ。


 東電の有価証券報告書によると、原燃に対する債務保証額は2011年3月期の2810億円から12年3月期には2490億円となり、1年で1割強減った。東電や日本原子力発電(東京・千代田)など原発を保有する電力10社は、原燃が再処理施設を建設するための資金を金融機関から借り入れたり、社債を発行したりする際に連帯債務保証をしてきた。




 原燃の有利子負債(長期借入金、社債、1年内返済の長期借入金の合計額)は12年3月期末で9872億円と、前の期から約350億円減少。減少分の大半が東電の債務保証の減額分にあたる。他の電力会社の債務保証額は最大十数億円の変動にとどまっている。




 原燃は使用済み核燃料を加工してプルトニウムなどを取り出す再処理を手掛けており、核燃料の有効活用のために官民で進めてきた「核燃料サイクル」の一角を担う。ただ、工場の本格稼働に手間取り、建設費は当初の約3倍の2兆1930億円に膨らんでいる。




 東電は現時点で原燃株の28.6%を保有する筆頭株主。債務保証額も関西電力(12年3月末で1846億円)や中部電力(同1245億円)より依然として多いが「現在の東電の財務状況では新たな債務保証は難しい」(債券アナリスト)との指摘もある。




 電力各社は原発の相次ぐ停止で燃料費が増え、財務体質が悪化した。「業界の盟主」だった東電の危機で、原燃のような共同出資会社に対する財務面の支援負担が増すことも確実。東電の賠償金の支払いを支援するために政府主導でつくられた原子力損害賠償支援機構に対しても、12年3月期分の「一般負担金」として業界全体で815億円(東電分含む)を負担する。