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日本取引所グループ(JPX)と日本卸電力取引所(JEPX)、電力の市場機能や競争力の強化で覚書(MOU)締結。現先市場の連携で電力価格安定の体制構築目指す(RIEF)

2023-01-20 11:04:24

JPX001キャプチャ

 

 日本取引所グループ(JPX)と日本卸電力取引所(JEPX)は19日、電力の市場機能や競争力の強化を目的とした覚書(MOU)を結んだと発表した。HEPXは電力の現物市場を運営し、JPXは電力の先物市場を運営しており、両社が協力することで現先市場全体の電力取引の安定、拡大に資することを目指すとしている。

 

 2022年はロシアのウクライナ侵攻により、原油・天然ガス等のエネルギー市場が高騰し、それらの発電燃料の価格上昇のほか、夏季・冬季の季節的な需要期において需給逼迫懸念などが台頭し、国内の電力価格も変動が続いた。両社はこうした外部環境の変化は今後も起き得るとして、そうした変動期においても、電力の安定供給を確保できる仕組みづくりや、市場による価格変動リスクの吸収力等の高める必要があると判断して、両市場の効率的な連動強化を目指すとしている。

 

 両市場の連携強化のための具体的な取り組みについては、今後、両社の協議で詰めていくとしている。当面は、燃料高騰などで電力価格が急上昇する際に備えた両市場でのリスク管理体制の連携が課題となりそうだ。報道によると、JPX傘下で電力先物市場の運営を担う東京商品取引所の石崎隆社長は「まずは情報交換によってリスク管理を強化し、(より効率的な)資金管理も含めた体制の構築も検討したい」と述べている。

 

 JPXも「電力の現・先市場を運営するJEPXとJPX及びグループ各社が協力することにより、効率的な市場運営を促進するとともに、電気事業者をはじめとする両市場の利用者にとって価値のあるサービスを創出できるように積極的に協議し、取り組んでいきたい」とコメントしている。

 

 両社の連携では、電力市場への市場参加者の拡大やリスク管理の強化等が課題となるが、北欧などの海外では現物と先物を同じ取引所で扱い、市場参加者がデポジット(預かり金)を共通に利用できる例もあるという。将来的には、両市場の連携・融合化もテーマとなりそうだ。

https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/20230119-01.html