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千葉・袖ケ浦市での大阪ガスグループ会社による元旦のバイオマス発電所の火災。今も鎮火できず。サイロ内の燃料搬出に着手。輸入燃料依存型バイオマス発電のリスクの高さを浮き彫り(RIEF)

2023-02-12 22:29:06

Daigasu002キャプチャ

 

  元旦以来、貯蔵サイロ内で保管していた木質バイオマス燃料が燃え続けている千葉・袖ケ浦市の大阪ガスグループ会社のバイオマス発電所は、1カ月以上が経過しても白煙が消えきれないことから、4基あるサイロのうち、出火していない1基からの燃料の搬出作業を開始した。これまで窒素ガスの注入や、散水等で消火活動を続けてきたが、いまだに鎮火のメドが立たないことから、燃料を搬出することにした。しかし、1基のサイロからの搬出作業だけで1カ月が必要としており、全体の鎮火はまだ先になりそうだ。

 

写真は、2月12日現在も白煙が上がり続けるバイオマス発電所=千葉県袖ケ浦)

 

 燃料火災が続いているのは、大ガスグループの「Daigasガスアンドパワーソリューション(DG&PS)」が運営し、2月から営業運転を開始する予定だった千葉・袖ケ浦にある「袖ケ浦バイオマス発電所」(同市北袖)。4基ある燃料貯蔵用のサイロのうち、A1サイロから元日に白煙が上がった。異臭も発生し、周辺の住宅地等に広がった。A1の消火作業を行っている中、1月4日にはB1でも白煙や異臭が発生した。

 

消火のため窒素の注入作業
消火のため窒素の注入作業

 

 「DG&PS」はこれまで、サイロ内に窒素ガスを送り込むことで酸素の遮断および内部の冷却を促すとともに、サイロ内に設置している散水栓からの散水を試みるなどの消火活動を続けている。しかし、白煙があがったA1、B1での消火活動は、現時点でも鎮火の見通しが立っていない。そこで、火災は発生していないが隣接するA2、B2のサイロについて、温度を抑制する対策を継続するとともに、万一の場合、燃え移らないように、まずB2に積み上げた木質ペレットを外部に搬出する作業を始めた。

 

 木質ペレット燃料の搬出に際しては、「安全を最大限に優先し、慎重に作業を進める」として、1日の作業で搬出できる木質ペレットの量を限定する。このため、作業期間は約1カ月かかると説明している。燃えていない燃料を貯蔵しているB2からの搬出だけでも1カ月かかるとなると、白煙を消火できていないA1やB1からの搬出作業は、それ以上の日程が必要になり、同社では「搬出終了時期は現時点で見通せていない」としている。

 

4サイロの現在の状況(2月12日時点)
4サイロの現在の状況(2月12日時点)

 

 バイオマス燃料の火災の継続により、周辺住民等からは白煙と木材の焦げたような異臭による健康影響が懸念されている。同社が実施した環境影響調査によると、捕集した大気からベンゼンが検出された。検出されたベンゼンの濃度は、環境省が定める環境基準(1㎥当たり3μg)を一部で上回る4.2μgを検出した。現在は検査地点では基準を下回っている。同地域での年間のベンゼン濃度は、2021年度では0.18~3.3(年平均1.5)μg/㎥とされる。

 

千葉・袖ケ浦近辺での、大気中のベンゼンの検出データ
千葉・袖ケ浦近辺での、大気中のベンゼンの検出データ

 

 木質ペレット燃料からの発生原因については、同社は「現在調査中。想定される原因として、サイロ内に保管していたバイオマス燃料(木質ペレット)が、自然発酵、蓄熱したことが一つの原因ではないかと考えている」と説明している。同社のバイオマス燃料はすべて商社が海外から輸入したもので、仕入れた燃料の品質については、同社自体での個別チェックはしていない模様だ。

 

 バイオマス発電は経済産業省の固定価格買取制度(FIT)の適用対象となり、燃料種別に応じて買取価格が異なる。買い取り価格が高い一般木質バイオマス燃料としての認証を得るため、不純物を混在させた粗悪なバイオマス燃料に偽装外部認証を付与した輸入燃料が大量に出回るなどの問題が表面化している。ただ、経産省も、また同省が設定した学識経験者で構成する再エネ電力の調達価格等算定委員会も、同問題の存在を無視する形で、バイオマス発電の電力購入を従来通りに推奨し続けている。

https://www.daigasgps.co.jp/emergency/1315068_13797.html

https://www.daigasgps.co.jp/emergency/1282566_13797.html