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エア・ウォーター社。独ルクサーソーラーと共同で、垂直ソーラー発電システム開発。わずかな面積で設置可能。駐車場脇や豪雪地帯等でも発電適地に。5月から販売へ(RIEF)

2023-04-13 23:38:09

AW001キャプチャ

 

 エア・ウォーター(大阪)は13日、太陽電池モジュールメーカー、独Luxor Solar GmbHの日本法人、ルクサーソーラーと共同で、垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」を開発、5月から国内販売を行うと発表した。地表面からモジュール最下部までの高さを2m以上確保できることから、平面駐車場に併用できるほか、農村部の牧草地や農道脇に設置し、豪雪地帯でも発電が可能という。同社は2030年度には年間1000億円の売り上げを目指すとしている。

 

 (写真は、札幌市豊平区の自社用地に設置した垂直ソーラー発電システムの実証機)

 

 同社によると、日本は平地面積あたりの太陽光発電設備容量が470kW/㎢で、主要国の中で2位のドイツ(219kW/㎢)の2倍以上になっており、太陽光発電設置の適地が不足している。その一方で、国土の51%を占める豪雪地帯は太陽光発電に不適とされてきた。同社ではこうした問題解決のために、設置面積がわずかで済み、他の用途との併用が可能な垂直ソーラー発電システムを開発した。

 

 同システムの開発は世界初としている。垂直ソーラー発電システムは、欧州で普及し始めている。これを両社は、日本市場のニーズに適用させることを目指して協働してきた。ルクサーソーラーは高性能な両面受光型太陽光発電モジュールメーカー。開発したVERPAシステムは、豪雪地帯や、既に駐車場など他用途で使用している土地への設置が可能で、傾斜地の場合でも農地や牧草地との併用により、土壌劣化や景観悪化を防ぐことができるとしている。

 

実証機の設置状況
実証機の設置状況

 

 初期の導入場所としては、ショッピングセンターや大型公園の駐車場、サービスエリア・パーキングエリア、道の駅をはじめ、牧草地や農道、歩道などを想定している。駐車場の場合、地表からモジュール下部までの高さが2m以上あるので、ドライバーや歩行者の視線を遮らず、駐車場利用者の安全を確保できるとしている。また建築物ではなく、工作物扱いになるため、市街化調整区域の駐車場にも設置できる。

 

 平置き型の太陽光発電設備では、積雪があると発電できないほか、豪雪地帯では圧壊するリスクがある。だが、垂直型の場合は雪は積もらず、雹(ひょう)や黄砂、落ち葉、落石等の影響も最小化できる。台風や暴風雪等の影響に対しては、防風柵・防雪柵でカバーするという。

 

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 発電量は両面発電モジュールを使い、かつ地面からの反射光も活用できること等から、年間発電量は平置き型、傾斜型に比べて、大差はないといている。

 

 製品仕様は、1ユニット出力:460W×2段=920W(横幅2280mm×高さ4633mm)。試算モデル(例):10台×4列の駐車場(横幅30m×長さ39m程度)に設置した場合の発電量は約36kW(0.92kW×39ユニット(13ユニット×3列)=35.88kW。参考価格:本体含む総工事費 30万円~70万円/kWを想定(補助金助成を含まず)している。

https://www.awi.co.jp/ja/business/news/news1003770864086324807.html