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東京商品取引所(TOCOM)。電力先物取引の取引情報を月次ベースに加えて、週次ベースを追加へ。2024年春メド。現物価格の急上昇時や季節変動時のヘッジ需要増大に対応へ(RIEF)

2023-06-21 16:38:55

TOCOMキャプチャ

 

 日本取引所グループの東京商品取引所(TOCOM)は、提供する電力先物取引情報を、現行の月次ベースに加えて、週次ベースの情報を追加すると発表した。2024年春にも実施する見通し。日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場での現物取引は30分単位の取引となっており、先物取引の情報を週次ベースとすることで、冬場から春への移行期等の需給変動に応じた取引のヘッジ機能を市場参加者がし易くなるとみられる。

 

 現状の電力先物取引は、1日単位のベースロード電力と日中ロード電力を、一カ月間合計したものを取引単位としている。取引電力は、ベースロード電力と日中ロード電力をそれぞれ西エリア(西日本)と東エリア(東日本)に分けた4種類が対象。

 

 週次の電力先物は、ベースロード電力の場合、取引対象は土曜日から翌週金曜日までの暦日における暦日数×24時間×100kWhで得られる電力量(kWh)。日中ロード電力の場合の取引対象は、同じく土曜日から翌週金曜日までの暦日における平日数×12時間×100kWhで得られる電力量(kWh)とする。

 

 先物電力の取引単位は「100kWh」単位で、現状の月次ベースでは月間平均価格で示され、日中等での需給の変動は月全体で均されて示される。このため、一時的な価格高騰や、季節変動等による需給変動が先物価格に反映しづらい課題がある。

 

 2021年1月の天然ガス価格上昇に伴う電力卸売価格の高騰時には、JEPXの現物取引で調達した電力を、小売販売していた多くの新電力企業等は、調達価格と販売価格の逆ザヤに直面し、倒産や事業撤退等の苦境に陥った。その後、価格変動のリスクヘッジのために、先物電力の機能を活用する電力会社、企業等が増大しており、電力先物市場への参加企業数は、21年1月の57社から、23年5月には164社へと3倍近い増加になっている。

 

 今年5月の電力先物取引高は、ベースロード電力等の4商品合計で4170枚(前月比100%増)、電力量換算で254,959,200kWh(同140%増)と増大している。この夏(7月限~9月限)の冷房増大による電力需要増や、冬(12月限~24年月限)暖房需要増等の価格変動を対象としたヘッジ取引が増大しているためという。

 

 今回のTOCOMの週次ベースの電力先物価格の開示は、そうした市場ニーズに対応するためのもの。月次に加えて、週次データを追加することで、電力価格の変動に対する取引参加者の対応がよりし易くなる。海外の電力先物市場では、さらに細かく日次価格の開示も行われているという。今後の国内の電力取引市場の拡大に応じて、電力先物市場の活用もさらに拡大することが期待されている。

https://www.jpx.co.jp/rules-participants/public-comment/detail/d13/20230619.html