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経産省。GX政策で導入を予定する脱炭素電源整備制度で、電力各社の原発再稼働に伴う事故対策費用を支援対象に。電力会社の負担を消費者に転嫁へ。GXの「本音」がチラつく感じ(各紙)

2023-07-28 13:14:49

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 各紙の報道によると、経済産業省は、脱炭素を進めると称するグリーントランスフォーメーション(GX)での脱炭素電源整備の一環として、2024年に導入を予定する「長期脱炭素電源オークション」による支援制度の対象に、再稼働を目指す各電力会社が抱える既存原発の事故対策費も加える考えを示した。電気料金を通じて全国の消費者に個別電力会社の事故対策コストを転嫁するもので、再エネ由来の新電力と契約している消費者も負担対象となる。個別電力会社の経営を、消費者負担で強制的に支援させる仕組みといえ、GXが原発復権主導策であることを改めて示す形だ。

 (写真は、原子力小委員会の過去の会合の模様=電気新聞より)
 東京新聞が報道した。経産省は26日に開いた総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会で、その考えを明らかにした。それによると、同省が想定するのは24年1月に導入する「長期脱炭素電源オークション」制度。新電力も含む電力小売会社から拠出金として集めた資金を、脱炭素に資する電源整備をする発電会社に分配する仕組みだ。再エネ等の電源を抱える電力会社は、運転開始から20年間、同制度から一定額の資金を毎年得られるという。
 同省は、同制度の対象電源として、太陽光や風力等の再エネ発電所の新設のほか、石炭火力発電所でのCCS導入やアンモニア混焼等によるCO2削減のための改修等を対象とすることとする一方で、原発の再稼働、稼働期間延長、次世代原発等の開発等も含めているが、今回、原発支援の中に、既存原発の事故対策費も含めるとした。東京新聞は「国は昨夏以降のエネルギー政策見直しの議論で(事故対策費の支援は)説明していなかった」と指摘している。
 既存原発の再稼働への電力消費者支援案について、同日の会議で経産省の担当者は「投資回収の予見可能性を確保する観点から(制度の)対象とすることを検討したい」と説明し、今後、別の有識者会議で詳細を検討すると説明したとしている。
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 長期脱炭素電源オークション制度は、脱炭素に効果のある発電所への新規投資を対象とした入札制度で、国が支援する発電所を入札で決め、全国の電力小売会社から集めた資金を発電会社に分配する仕組みだ。原発の落札価格の上限は年間1kW当たり10万円で、100万kWの原発を設ける場合は、年間最大1000億円の費用が同制度を通じて、電力会社に無コストで配分されることになる。
 同小委は、委員長が原子力安全研究協力会理事の山口彰氏。委員の多くが電力会社や原発立地県の知事等の原発推進の識者を中心として構成されている。山口氏は、「2030年代に原発の新増設が必要」と公言している「原子力ムラ」の一員として知られる。ただ、原発復権に懸念を示す少数の委員のうち、NPO法人原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「事故対策は電力会社の責任で投資するべきだ。消費者に負担させるべきではない」と指摘した。本来の支援制度が脱炭素電源を新たに増やす目的であることから「既存原発を対象に加えることは制度にそぐわない」と批判した。
 原発の再稼働に向けた事故対策費は、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で少なくとも1兆1690億円が見込まれている。他の原発保有電力会社も数千億円規模のコストをかけている。現状で電力各社が自ら負担しているコストを、電力消費者の負担に切り替えることになる。経産省は同制度をGXの基本柱に据える考えのようだ。