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関西電力、3月の京都・舞鶴発電所のバイオマス燃料からの出火事故。原因は同燃料の管理メカニズムへの認識不足にあったとの検証結果公表。火力発電への「異物混焼」リスク認める(RIEF)

2023-12-27 12:08:39

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写真は、燃え上がる関電舞鶴火力発電所の様子=京都新聞より)

 

  関西電力は26日、今年3月に京都府舞鶴市の石炭やバイオマス燃料を使う舞鶴発電所(京都府舞鶴市)で3月中旬に発生した火災について、バイオマス燃料が発酵・酸化で発熱・発火するメカニズムへの同社の認識不足により、燃料の管理方法が不適切であったほか、燃料の監視精度・防火対策の運用ルールも不十分だったとし、同社の燃料管理に原因があったと発表した。同時に再発防止策も公表したが、そもそも、火力発電の継続を前提にしてバイオマス燃料を混焼する手法自体の問題は言及していない。同社及び日本政府は、バイオマス燃料に加えてアンモニア混焼を推進しようとしているが、「事故後の言い訳」を重ねないようにしてもらいたい。

 

 火災事故を起こしたのは、京都府舞鶴市の同社舞鶴発電所(1、2号機合計出力180kW)。今年3月14日午後10時前に、木質ペレットなどのバイオマス燃料を貯蔵する施設「バイオマスサイロ」から火災が発生した。火災は発生から約10時間半たった15日午後8時30分ごろに鎮火した。https://rief-jp.org/ct10/133551?ctid=

 

 火災直後の関電の事故分析では、①バイオマスサイロ内にあるバイオマス燃料の一部が、発酵・酸化して発熱するとともに可燃性ガスが発生②サイロ内およびバイオマス燃料をボイラへ運搬する設備内に可燃性ガスが滞留③発熱が進んだサイロ内のバイオマス燃料が自然発火し、それが可燃性ガスに引火したーーと発表していた。事故後、同社は4月初めに事故対策検討会を立ち上げ検証した結果、事故原因等は当初の想定通りだった。https://rief-jp.org/ct12/134147?ctid=

 

 そのうえで、同社はサイロ内に温度計や可燃性ガス濃度計等を設置し、 発熱の予兆の監視や、異常値を感知した際に使用する燃焼防止の窒素封入設備、水噴霧消火設備等の対策をとってきたが、バイオマス燃料が発酵・酸化により発熱・発火に至るメカニズムの認識不足により、燃料の管理方法が不適切だったこと、燃料の監視精度および防火対策の運用ルールが不十分だったことが原因になった、と考えていると同社の管理能力に問題があったことを認めている。

 

 再発防止策として、バイオマス燃料の管理方法を見直し、 監視設備の増設および防火対策の運用ルールの改訂を行う、としているほか、受け入れたバイオマス燃料の品質に応じた対応をする等としている。 管理方法の見直しでは、発酵等のリスク低減のため、燃料の 購入時に求める水分等の基準値を見直すほか、サイロ出口等での温度計増設、燃料をボイラへ運搬する設備内に可燃性ガス濃度計を増設等を講じるとしている。

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2023/pdf/20231226_2j.pdf