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討論型世論調査 「原発ゼロ」へ変わる意見(東京新聞)

2012-08-06 17:53:01

将来の原発比率などエネルギーの選択で、国民同士が議論して意識がどう変化するのかを調べる政府の討論型世論調査(DP)の討論会が五日東京都内であり、二日間の日程を終えた。討論会では「原発ゼロ」を強く求める声が圧倒的。討論を経て、原発ゼロへ意見を変える参加者もいた。政府が国民の声を政策に反映できるのかが焦点となる。(岸本拓也) 


 この日のテーマは「二〇三〇年のエネルギー選択のシナリオを考える」。討論を経て、三〇年時点の原発依存度を当初考えていた15%から0%へと意見を変えた参加者が複数いた。その一人、愛知県豊田市の不動産業杉浦道代さん(65)は「今しか原発ゼロと言える機会はないと考え直した」と話した。




 四日と同じく二百八十六人(男性百九十二人、女性九十四人)が、約十五人ずつの小グループに分かれての討論。参加者は無作為で選ばれたが、あるグループは「将来子どもたちが安全に暮らすようにしないといけない」(佐賀県の女性)などとして、十五人中十三人が将来的に原発ゼロを目指すべきだと主張。全国で開かれた意見聴取会と同様に、ほかのグループも原発ゼロの意見が目立った。




 DPでは、議論を経てこうした意見の変化に着目し、詳細な統計を、八月中旬にDPの実行委員会(委員長・曽根泰教慶応大大学院教授)が公表する。




 ただ、政府は、DPや意見聴取会の結果をどう政策に反映するかについて、「さまざまな総合判断」(枝野幸男経済産業相)と説明するのみ。DPでは全体的に原発ゼロを求める意見が多数を占めるものの、中には0%から15%に意見を変えた参加者も。原発15%案を「中立的」と評価する政府がこうした結果を都合よく「民意」として抜き出す懸念は消えない。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012080602000095.html