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がれき広域処理、正念場 推進自治体「被災地復興のため」(河北新報)

2012-08-13 18:04:54

がれきの放射線量を測定する住民(左から2人目)と折田中之条町長(左端)=6月8日、群馬県中之条町
がれきの放射線量を測定する住民(左から2人目)と折田中之条町長(左端)=6月8日、群馬県中之条町


東日本大震災で発生したがれきを被災地以外の自治体が受け入れる「広域処理」が正念場を迎えている。政府が7日公表した新工程表は、岩手、宮城両県の可燃物に一定の見通しが立ったとしたものの、不燃物などで広域処理の拡大を求めた。2014年3月の全作業完了に向け、被災地の復興に貢献しようと広域処理を推進する自治体の動きを追った。

 群馬県北西部の中之条町、東吾妻町、高山村でつくる「吾妻東部衛生施設組合」。今年6月から受け入れている宮古市の可燃物の処理量は、累計で110トンを超えた。
 1月の中之条町長選で初当選した折田謙一郎町長が就任直後、2町村に呼び掛け、組合ががれき受け入れに合意した。

 だが、四万温泉などの観光地を抱える中之条町では風評被害への懸念も根強く、当初は町役場に抗議や苦情が殺到した。

 そこで、組合は宮古市のがれきに含まれる放射性物質の濃度を独自に測定し、計20回にわたる住民説明会で数値を示して安全性を訴えた。

 組合はその後、試験焼却の結果や、施設の周辺住民の7割が賛成したアンケートも踏まえ、受け入れを正式決定。折田町長は「首長が粘り強く安全性を訴えることに尽きる。今後も放射線量など情報公開に留意して進めたい」と強調する。

 細野豪志環境相の“お膝元”静岡県の島田市は、5月23日に岩手県山田町の可燃物の処理を始めた。ところが、木材チップの中に契約内容になかったコンクリート片が混入していたことが判明し、作業がストップして焼却灰の埋め立てを見送る事態となった。

 だが、桜井勝郎市長は「ここでやめたら他の市町に影響が出る」と再開を決断。「一日も早く被災地のがれきがなくなるようペースを安定させたい」と意欲を燃やす。

 秋田県内の自治体は、隣接する岩手県のがれきを積極的に受け入れている。大仙市は4月、東京都に次いで全国2番目に広域処理を開始。大仙市は14年3月までに宮古市の可燃物約5200トンの処理を目指す。

 秋田市は9月から来春にかけて、岩手県野田村の可燃物約7800トンを処理する計画。また、仙北市は広域処理の調整が難航している岩手県の不燃物の受け入れを表明している。

 民間企業も広域処理に協力する動きを見せる。埼玉県の上田清司知事の要請を受け、「太平洋セメント」と「三菱マテリアル」の2社は、同県内にある計3カ所のセメント工場でのがれき受け入れを決定。岩手県野田村の木くずなど計1万1300トンを燃料やセメントの原料として処理する見通しだ。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/08/20120813t71007.htm