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「原子力村」学会による 独自の「福島事故調」発足。 結論は原子力学者への免罪符発行か(FGW)

2012-08-21 17:37:03

「原子力村」事故調の委員長に就任した田中知東大教授
原子力研究・調査を中心とする日本原子力学会(AESJ)は、東京電力福島第一原子力発電所の事故原因を調査する独自の委員会を発足させ、21日に第一回会合を東京で開いた。福島事故の調査委員会は、政府、国会、民間版等による調査委員会がそれぞれすでに報告書を公表している。事故原因調査という点では明らかに重複感があるが、AESJは事故調査以外に、「原子力の安全の継続的な向上を図る改善策の提示、提案を行う」としており、原子力学者たちが、自らの研究基盤維持を目指した提言になる可能性がある。

AESJの報道発表によると、同学会では昨年3月11日の福島事故後、学会内に「原子力安全調査専門委員会」を立ち上げていた。さらに、今年6月に開いた総会・理事会において、学会の総体を挙げて調査検討を進めるとして、理事会直結の調査委員会の発足を決めた。委員会設置の目的は、今回の福島事故とそれに伴う原子力災害の実態を科学的・専門的視点から分析・把握して課題を抽出するとともに、原子力安全の継続的向上を図る改善策を提示・提案することを目指すとしている。

改めて事故原因を「科学的・専門的」に調査するということは、これまでの国会、政府等の調査委員会が、「科学的・専門的な視点からは不十分」と言外に示唆した風にも読める。また、これまでAESJ自体が電力会社、経済産業省等と蜜月を続け、原発のリスクマネジメントや社会的な影響を軽視してきた学会自体の組織的・社会的な問題点とも向き合うとして、学会の組織改革にも検討対象に加えている。

 事故調査委の委員長は、田中知(さとる)東大教授(2011年度のAESJ会長)が務め、学会の主要メンバーが参加する。調査結果は2013年度末に公表する予定。

 委員長に就任した田中教授は、東京大学大学院工学系研究科教授(原子力国際専攻)で、核燃料サイクル、放射性廃棄物などが専門で、学会会長ほか、原子力政策を推進してきた総合資源エネルギー調査会総合基本問題委員会委員、東電の福島事故技術的知見意見聴取会委員、青森県原子力安全対策検証委員会委員長などを歴任している原子力村の主要メンバーの一人。

http://www.aesj.or.jp/info/pressrelease/PR20120817.pdf

「原子力村」事故調の委員長に就任した田中知東大教授