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グリーンピース声明、「人災」を繰り返してはならない ――原子力規制委員会人事案の衆参院本会議採決を前にして(Greenpeace)

2012-08-24 17:50:42

Japan Nuclear
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、政府が本日24日発表した原子力規制委員会の閣議決定に関して、原子力推進の政策に関与していた立場にある人事がそのまま承認されることは、東京電力の福島第一原発事故を引き起こした反省から全く教訓を得ていないとして強く抗議し、採決の際に国会議員が人事案に賛成しないことを求めます。

6月20日に成立した原子力規制委員会法では、原子力に係る製錬・加工・貯蔵・再処理もしくは廃棄の事業を行う人は委員就任を不可とするなど、関係事業者からの高い独立性を定めています。ところが、政府が提示した人事案では、原子力学会会長や原子力委員長代理として関連事業者とともに原発を推進してきた田中俊一氏が委員長、安全規制の対象となる「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の現役幹部である更田豊志氏や、医療系放射性廃棄物処理工場を運営し安全規制の対象事業所運営に携わる中村佳代子氏らが委員候補とされています。こうした人事は法の規定に反するだけでなく(参考)、政府と原子力行政に対する国民の不安を愚ろうする行為です。

ドイツでは、日本の規制委員会と同等の組織であるドイツ原子炉安全委員会(RSK)に、原発に批判的な学者や市民団体が委員として参加しています。また、技術的視点を離れ、原発とドイツ社会が共存できるかを倫理面から議論する諮問委員会(安全なエネルギー供給に関する倫理委員会)を設けるなど多角的な検討を行いました。一方、日本では非常に深刻な事故を経て新設される規制行政機関にもかかわらず、委員長を含め過半数が原発推進の受益者によって構成される日本の原子力規制委員会案は、二度と原発事故を起こさないという政府の決意が大きく疑われるものです。

グリーンピース・インターナショナルで放射線アドバイザーのリアナ・トゥールは「新しく設置される日本の原子力規制委員会は、原発の安全面だけでなく、生産から発電までのサプライチェーンマネジメントにおける健康被害や環境汚染などのリスクをふまえても正当化できるか、といった倫理面に基づいた意思決定がされるべきです」と述べています。グリーンピース・ジャパンは、原子力推進から独立した規制行政の確立と原発からの早期脱却、省エネと自然エネルギー利用を中心とした社会に大きく舵を取ることを目指して活動しています。

参考) 日本弁護士連合会による「原子力規制委員会委員の人事案の見直しを求める会長声明」(2012年8月3日)

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2012412/pr20120824/