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深刻なマダラのセシウム汚染問題。東電による汚染水海中放出と、阿武隈川による陸上汚染・除染分の海中流出が原因か(ブログ:山と土と樹を好きな漁師)

2012-08-29 13:39:52

水揚げされたマダラ
(ブログ「山と土と樹を好きな漁師」:から)青森の八戸港に水揚げされた「マダラ」から、セシュームが国の基準値を超えて出荷制限されました。これは、僕ら漁師にとって死活問題です。魚種がなくなれば、廃業か放射線のないどこかに移転して船を維持して生活するしか無くなります。漁師なのでまた漁業の面から、「原発事故と漁業」について伝えようと想います。

※ これは、福島の漁業の実態と宮城、岩手の海の実態です。
(河北新報などから一部、抜粋させて頂きました。これは、今年の6月19日の記事を参考にしています)

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「見えない敵」 海の汚染/陸から移染、希釈妨げるのか・・?

<漁獲3種に限定>

 

 
1年3カ月ぶりの底引き網漁。高値が付いたはずのカレイやカニも掛かったが、漁師は海に捨てるしかなかった。



水揚げされたマダラ


14日、福島第1原発事故で自粛が続く福島県沖の漁業再開に向け、相馬双葉漁協(相馬市)が始めた試験操業。漁獲が許されたのは、放射性セシウムを体内に取り込みにくいタコと貝の計3種に限られた。それも出荷はされず、放射性物質検査のサンプルとなった。

 

幸い放射性物質は検出されず、次の試験操業では漁獲物が販売ルートに乗る見込みだが、漁師らは「この3種だけでは商売にならない。いつになったら事故前の漁に戻るのか」と不安を口にする。


漁師は、季節を通じてそれぞれ魚種や漁法を変えて行かないといけません。

 

※ タコや貝だけでは、全く年間を通じての採算が取れるものではないのです。

 
また、この3種だけがいいとなれば、この魚種に皆が集中しますから、沖では漁師同士の喧嘩もおきます。更に、資源が枯渇するのです。

 



なぜか、岩手の各魚市場でも検査していますが、骨のない、タコ、イカ、貝、ウニなどは放射性セシウムは、ほとんど検出されません。

さて、東京電力の許されない行為は、震災から2週間後にすでに起きています。
なんと、昨年4月4日午後5時すぎ、東京電力は事前の連絡もせず、福島県漁連(いわき市)に1枚のファクスを送ったのです。



「低レベル放射能汚染の滞留水(1万トン)と地下水(延べ1500トン)を海洋に放出します」
会議に出席していた漁連幹部は2時間後にファクスに気付いたが、既に汚染水の放流が始まっていたのです。

考えられない行為ですが。
なんと、放射能汚染の滞留水(1万トン)と地下水(延べ1500トン)を海洋に放出してしまったのです。合計、1万1500トンですよ。

合計1万1500tの放射能低濃度汚染水が海に放出された




 

これが、近辺海域はもとより、世界につながる海に拡散して行った訳です。
僕は、この頃海に放出したことは、知っていました。しかし、岩手の場合、親潮勢力が強く、北に流れて来ることはない。と考えていました。

しかし、考えて見ると海底の泥からの拡散。空気中から拡散した放射能は山の樹木に付き、土に浸透して、最後は川に流れ着きます。更に、川の水は、海に流れますから・・。このルートは考えていませんでした。

また、海の中の生態系は、「弱肉強食」の世界です。プランクトンから、小魚、小魚を食べる魚は被曝すりことになります。海の除染は、不可能に近いものだと想います。

非常に厄介な問題なのです。

 

さて、問題なのは

「海への放出」これを、政府も黙認していたことにあります。
このことは、事実は伝えても、メデイアも掘り下げて大きく取り上げなかったと記憶しています。

ここが、おかしいのです。
 

電力会社は国の護送船団方式で経営をしています。

つまり、40年以上前から、昔の電電公社のような感じで、他の民間の介入をできないようにして保護してきています。馴れ合いがあって当然です。

保安院も同じで、建前と実態は別です。政府=保安院=電力会社。一体となっているものだったのです。これは、戦後から自民党が推し進めた、「原発推進計画」に基づいたものです。

第2次世界大戦で日本のヒロシマ、ナガサキなど被曝したのにもかかわらず・。
経済優先で動いて来たからでしょう。


<想定通りならず>
 「海で希釈されると想定していた」。

東電は河北新報社の取材にこう説明するが、想定通りにはならなかった。
 福島第1原発の事故直後、海に入った放射性物質は、原発から直接放出された汚染水と、大気から海に降下したものの2種類。一部は泥など浮遊する固形物に付着して海底に沈んだ。長く沈着すると、海底土とそこに生息する生物の放射線量を上げる。


文部科学省がことし3月に公表した海底土の調査結果=図=では、福島第1原発30キロ圏を除いて最も数値の高い地点は仙台湾にあった。


 

 第1原発周辺の放射性物質は黒潮に乗って北上。黒潮は牡鹿半島付近で親潮とぶつかり、沿岸から離れていく。一方、仙台湾には反時計回りで沖合から沿岸に向かう沿岸流が流れています。


放射性物質は沿岸流に乗って仙台湾に入り、巡回した。数値が最も高かった地点の海底は泥場で底流も弱く、放射性物質が集中したとみられています。

昨年夏以降の台風やしけで海中は何度もかき回されたのですが、沈着した放射性物質は海底から離れ、希釈されたとみられるが、文科省の調査では低減傾向は鈍く、逆に昨年より増えている地点もある。放射能は希釈されないものなのです。

 

※ 東京電力では、ここでもウソの言い訳をしてるに過ぎなかったのです。
多くの専門家が行ってるように、放射能は希釈されないものなのです。非常に悪賢い、狡猾的な事をしたのです。


<阿武隈川 供給源>

 東北大大学院農学研究科の片山知史教授(水産資源生態学)らは、事故直後にはない新たな放射性物質の供給源として、阿武隈川からの流入に注目している。福島県中通りを南北に貫き、仙台湾に注ぐ。
片山教授は「阿武隈川は中通りの除染や雨で流された放射性物質を集め、海に運ぶ。除染は陸上に限ったことであり、環境全体では『移染』という言葉が現状を表している」と指摘しています。

複数の専門家によると、放射性物質による海洋汚染は現状では手の施しようがなく、希釈されるか半減期が過ぎるのを待つしかないとされる。


 

 宮城県でも全海域のマダラなどが出荷制限されるなど、水産業は深刻な打撃を受け、震災復興の妨げになっている。

片山教授は「小売店で全水産品の放射線量を調べるシステムを築くなど、国が安全性を保証し、風評被害を食い止める施策を実施しなければならない」と訴えている。


※ <メモ>東電によると、

昨年9月までに福島第1原発事故で海に入った放射性物質の推定量はセシウム134(半減期2年)が3500テラベクレル、セシウム137(同30年)が3600テラベクレル(テラは1兆)に上る。この数値には、川などを通じ陸から流入した量は含まれていない。

 

 

そして、ついに昨日の生地のように、ついに青森まで拡散し、国の基準値を超えて出荷制限されました。

 

ですから、何も福島の漁業だけでなく、更に拡散される可能性があるのです。
別の魚種も増えるかもしれません。

 

岩手県には、原発がありません。それは、当時、自民党からの打診を全て断り、先達が拒んできたからです。その信念と努力が、無駄になった形になる。だから、余計、悔しいのです。

青森県には、六ケ所村のようなプルサーマル施設を始め、原発が多く存在しますけどね・・。これにも、岩手の漁師は当時反対運動をしてきましたが・・。

強引に押し切られた経緯があります。汚い手口ですすめるのです。保安院は住民説明会で「サクラ」になりすましたりしていました。

 

あれだって、「仮置き場」という説明ですが、使用済み核燃料棒」は、高い放射能を放出しますが、最後は一体どこに保存するのか・・・?それも、決まっていません。

日本原燃の使用済み燃料再処理工場=2008年5月、青森県六ケ所村。



 

 

 海は海水で繋がっています。陸も空気で繋がっていています。


農作物や山のキノコもおなじでように、生産者は皆、おどおどしているのが現状です。
フクシマのあの家畜。無残でしたねーー。


とにかく、原発の放射能漏れは、非常に困った問題であり、宮城、岩手の被災地の復興を妨げる厄介な問題です。もしかすれば、北海道まで影響が出るかもしれません。


原子の力を享受した人間は事故の有無、原発への賛否を問わず、放射能のリスクと向き合わなければならないのです。ひとたび、事故が起きると、とんでもないこんな事が起きます。

当時の自民党の愚策が今になって沢山でてきています。

原発は、全てなくすべきです。

そして、今は民主党が経済界のいいなりです。確かに、車や電化製品など輸出産業から見れば、漁業、農業などビビたるものでしょう。

 

原発が決定にダメなのは、「人類が地球上で処理できないものを作った」、事にあります。

地球が多くの人々が悲鳴を上げています。
これは、絶対に将来の子供たちに残してはいけないものです。
強く、怒りを感じながらそう想います。



 自分の場合、多重債務までして船を作り、「漁師復活」して操業を始めていました・・。このように、なるのだったら、やるんではなかったと・・。今となれば、後悔しています。しかし、簡単に辞めるわけには行かないのです。


 

タコもイマイチな漁でしたし、他の漁法がダメなのでみんなタコ漁に集中してしまっています。
なので、今季12月頃から、はじめようと思って「タラの底延縄漁」。

 
 漁具資材を注文。漁具の作成を始めようと思っていた矢先のことで・・。非常にがっかりです。
なんだか、ヤル気がなくなりましたね。

 

まさに死活問題。漁師として生きていけるのか・・・?もう、そこまで考えなけばならない・・。

追い詰められた漁師たちです。非常に大きな問題です。