HOME10.電力・エネルギー |原子力規制委人事、首相任命の公算浮上 再稼働判断遅れも (各紙) |

原子力規制委人事、首相任命の公算浮上 再稼働判断遅れも (各紙)

2012-09-01 11:35:41

nikkeigensiryokukiseiiinkai96959996889DE6E7E4E3EBE3E0E2E2E3E2EBE0E2E3E09797EAE2E2E2-DSKDZO4561913001092012EE8000-PB1-2
各紙の報道によると、原子力規制の新たな司令塔となる原子力規制委員会の人事が国会の同意を得られず、野田佳彦首相が見切り発車で原案通りに委員を任命する公算が大きくなってきた。規制委は9月中に発足するが組織の信頼性に不安が残り、原発の安全基準や規制の見直しなどに影を落とす恐れがある。規制委は政治に翻弄された波乱の船出となる。

規制委は過去の原発行政の反省から独立性の高い機関とする代わりに、委員長や委員の人事には衆参両院の同意が要る。政府は7月26日に国会に人事案を示した。


 しかし委員長候補の田中俊一氏は内閣府原子力委員会の前委員長代理で、一部の与野党議員が「原子力ムラ出身」と批判。民主党は党内の造反が広がりかねないと懸念し、今国会での採決を見送る方向だ。




 民主党の輿石東幹事長は30日の記者会見で「国会で決められなかった場合は政府の責任で決めることができる。それも含めて判断すればいい」と述べた。規制委設置法は付則で、同意が得られないまま国会が閉じた場合は首相が委員長らを任命できると定める。幹事長の発言はこの例外規定を念頭に置く。




 規制委は法律上、9月26日までに発足させなければならない。首相による任命は9月8日の国会閉会後とみられ、規制委の発足は9月中旬が有力だ。同月17日からの国際原子力機関(IAEA)の総会で、田中氏を委員長として「お披露目」する案を温めるからだ。




 ただ国会日程を残す段階で首相による任命案が浮上したことに、野党は反発する構えだ。例外規定を使っても、任命後の最初の国会で同意を得る関門が控える。




 法律上は、原発事故に伴う原子力緊急事態宣言が出ている現状が続くなら、国会の同意がなくても人事の撤回は迫られない。しかし宣言が解除され、国会の同意が得られなければ首相は委員長や委員をただちに罷免しなければならない。




 新たな防災指針や安全基準の作成、40年廃炉ルールの具体化など規制委の仕事は山積みだ。人事がさらに滞れば、規制見直し自体に注文がつき、原発再稼働の判断も延びる恐れがある。