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たまる下水汚泥 5万トン 「がれきより深刻」 セシウム濃度下がっているが… 福島、業者受け取り拒否(各紙)

2012-09-02 16:31:45

汚泥袋が並ぶ県北浄化センターの仮設テントを開けると、猛烈な臭気が漂ってくる(福島県国見町)
各紙の報道によると、福島県内の下水処理施設に下水汚泥がたまり続けている。放射性セシウム濃度は搬出可能なレベルに下がっているが、セメント会社などは受け取りを拒否。敷地内で一時保管が続く。施設の周辺住民は「早く何とかして」と訴えるが、県も国も抜本的な対策を取れないまま、月4千トンのペースで増え続ける汚泥は8月末で5万トンに達した。

汚泥袋が並ぶ県北浄化センターの仮設テントを開けると、猛烈な臭気が漂ってくる(福島県国見町)




「下水からできた汚泥を1年以上も放置して腐敗させている。前代未聞だ」。福島市などの約16万人分の生活排水を処理する県北浄化センター(同県国見町)の紺野禎紀所長が悲鳴を上げる。


 敷地内に所狭しと白いテントが張られ、行き場のない汚泥が袋詰めされて並ぶ。現在の保管量は県内全体の4割にあたる約1万9千トン。毎日40トンずつ増え続ける。




 機密性を高めたテント内の減圧や袋の二重化など悪臭対策を施しているが、周辺住民からは「感染病などの目に見えないリスクもあり一刻も早い搬出が当然」(農業男性)と怒りの声が上がる。




 東京電力福島第1原発事故の前、同センターで発生した汚泥は8割がセメント会社に、残り2割が堆肥業者と県内の最終処分場に送られていた。




 しかし、昨年4月に県中浄化センター(同県郡山市)で、自治体が処分できる1キロ当たり8千ベクレルの基準を大幅に上回る同2万6千ベクレルの放射性セシウムが検出され、県内の全施設から汚泥の搬出が止まった。




 現在は埋め立てなどの処分が可能な同300ベクレル程度に下がったが、県が委託していた民間最終処分場は「近隣住民の同意が得られない」と受け取りを拒否。セメント会社も「自主基準を下回らなければ引き受けられない」との姿勢を崩さない。




 「日々増え続ける汚泥はがれき問題より深刻なはずなのに放置されている」(紺野所長)。県は汚泥を乾燥させて容量を減らす設備を設置する方針だが、抜本的な解決には遠い。敷地内のテントは現在61張。このままいけば来年中にテントを張る余地は無くなる。