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福島県下、高線量農地の除染不透明(福島民報) グランドデザインは役人の作文で描けるが、それでは作業はできない!

2012-09-05 20:25:21

政府は4日、双葉郡など避難区域の将来像をまとめたグランドデザインを閣議決定し、その実現に向けた農林水産業再生プランを示した。国が実施する農地除染で、放射性セシウム濃度が土1キロ当たり2万5000ベクレル以上の農地は「高線量下での作業技術の検討が必要」として、表土削りなど作業着手のめどが立っていない。農林水産省の調査では、高線量地域は東京電力福島第一原発から北西方向に点在しており、住民帰還の鍵を握る農地除染が想定通り進むかは不透明だ。
 土1キロ当たり2万5000ベクレル以上の畑と水田は5センチ以上の表土を削る手法を示した。ただ、高い放射線量の中で作業をするには「作業員の安全を担保するための技術が必要」との条件を付けた。

 農水省は正確な2万5000ベクレル以上の農地面積を把握していない。しかし、県内2247カ所で昨年行った土壌調査の結果、第一原発が立地する大熊、双葉両町から飯舘村にかけ点在していることが分かっている。

 農水省は、除染に向け、運転席に放射線の遮蔽(しゃへい)機能が付いた表土剥ぎ取り機などを開発し、今年度から飯舘村で実証試験を行っているが、技術的に確立していないという。作業員の安全を確保しないまま除染に踏み切ることはできず、住民帰還を促す農業環境の再生がプラン通りに進まない可能性がある。担当者は「機械の実証試験期間は26年度までだが、1日も早く成果を出したい」とし、避難区域内の農地除染を急ぐ考えを示した。
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 平野達男復興相は4日の定例記者会見でグランドデザインについて「これで確定するわけでない。区域見直しなどによって(グランドデザインの)考え方が変わってくる可能性もある」と柔軟に見直していく考えを示した。また、「(グランドデザインを基に)市町村ごとの復興計画が必要になってくると思う。策定に向けて国と県の支援態勢もつくっていきたい」との考えを示した。

■森林除染、中間貯蔵施設、財源 実現へ課題山積

 「避難指示解除から2年後には、住民が生活再建に取り組める環境を構築する」―。グランドデザインは、双葉郡など12市町村の短期(2年後)、中期(5年後)、長期(10年後)の将来像を描いたが、実現に向けた課題は山積している。

 グランドデザインでは、住民帰還に向け住宅などの除染の他、上下水道などの社会資本の整備、農地再生などを進めるとした。

 しかし、双葉郡などの面積の多くを占める森林の除染方針は明確に示されなかった。さらに、除染を進めるための中間貯蔵施設設置をめぐり、政府、県、双葉郡8町村の議論は難航しており、グランドデザイン具現化への影響も懸念される。

 また、グランドデザインには「長期にわたって十分な財源を確保する」との文言が明記された。ただ、国の来年度予算の概算要求に、関連予算がどの程度盛り込まれるのかは不透明な状況だ。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/201209053480