HOME |原子力学会:意識調査実施 専門家も推進論に変化(毎日) |

原子力学会:意識調査実施 専門家も推進論に変化(毎日)

2012-09-20 22:32:11

東京電力福島第1原発事故の前後で、一般市民だけでなく原子力の専門家の原発に対する意識が変化し、事故を境にそれまでの積極推進論が揺らぐ傾向があることが分かった。広島大で開かれている日本原子力学会の大会で20日、報告された。【阿部周一】

 同学会の専門委員会が07年から毎年、意識調査を実施し、無作為に選ばれた都市圏住民各約500人、原子力学会員各約600人が回答。今回は、事故前の11年1月分と、今年1月分を比較した。

 「原発は20年後の生活に有用か」との項目について、「どちらかといえば」ではなく、明確に「有用」と答えた専門家の割合は79.5%から50.1%へと大きく減少。事故の影響で積極的な推進論が弱まっていることが認められた。

 原発の安心感に関する質問では、「不安」と答えた市民が事故前の49.8%から事故後は70.8%に増加。専門家でも5.3%が17%に増えたものの、依然として大きな開きがあった。また、今後の原発の利用について「利用していくべきだ」とする市民は43.8%が20.6%に、専門家は95.5%が85.4%へと共に減ったが、差は広がった。

 「原発の技術開発より再生可能エネルギーの開発と育成に重点を置くべきだ」との考えは、市民は59%から79.4%へと増加、専門家では13.1%が26.9%へと倍増した。

 調査メンバーの土田昭司・関西大社会安全学部教授は「大事故を経験し、原子力の専門家も動揺している。安全性や有用性について今一度考えてみようとしていると思われる」と話している。

 http://mainichi.jp/select/news/20120921k0000m040084000c.html