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シェールオイル採取成功 国内初、秋田・由利本荘の油ガス田(河北新報)

2012-10-04 07:19:43

掘削されたシェールオイル
掘削されたシェールオイル


資源開発大手の石油資源開発は3日、秋田県利本荘市の「鮎川油ガス田」の地下岩盤から、新たなエネルギー資源として世界的に注目される原油「シェールオイル」の試験採取に成功した。国内での採取は初めて。原油成分を詳しく分析し、2013年度にも新たな油井の試掘を行う。
 東京電力福島第1原発事故をきっかけに、エネルギーの多様化が必要とする声が出ており、今回の成功で国内の天然資源開発の機運が高まる可能性がある。
 石油資源開発は1日から試験採取に着手。深さ約1800メートル地点にあるシェール層に塩酸とフッ酸をポンプで注入して石灰岩などを溶かし、圧力をかけて隙間から原油を含む液体を噴出させ、採取した。3日朝に遠心分離機にかけた結果、一部に原油が確認された。

 鮎川油ガス田周辺のシェールオイルの埋蔵量は、隣接する油ガス田を合わせて約500万バレルと推定されている。秋田県全体では、国内での年間石油消費量の1割弱に当たる1億バレルに上る可能性もあるという。

 安定して採取を継続できるかなど、事業化に向けた課題は多い。石油資源開発秋田鉱業所の井上圭典所長は「出ると分かっていた場所から出たことにホッとしている。酸処理の効果などを詳しく分析する必要がある」と話す。

 試験採取は4日まで行い、今回採取したシェールオイルの量などを調べる。来年1月をめどに調査内容をまとめる。秋田鉱業所の山岸裕幸技術部長は「商業ベースに乗ってこそ成功したといえる。採算が取れるかどうか調べたい」との考えだ。

 佐竹敬久秋田県知事は「技術的な一歩をクリアしたのだと思う。ある程度の埋蔵量があることを期待したい。採掘施設などができれば雇用も増える。今後、大きなプランとして進んでほしい」と語った。

[シェールオイル] 泥土が堆積して固まった地下の「頁岩(けつがん)(シェール)」に含まれる石油。掘削が難しく、最近まで開発が進まなかったことから埋蔵量が豊富にあるのが特徴。天然ガスの「シェールガス」とともにあらたなエネルギー資源として注目されている。北米では本格的な生産が始まっており、日本の大手商社も現地の開発事業に参加している。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/10/20121004t45020.htm