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原子力規制委:電力会社に過酷事故対策を義務化 「事業者任せ」転換(毎日)

2012-10-10 22:49:06

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原子力規制委員会は10日、炉心溶融に至った東京電力福島第1原発事故のような想定を超えたシビアアクシデント(過酷事故)への対策の法制化に向けた作業に着手した。過酷事故の発生リスクを確率で把握する手法を新たに取り入れ、電力事業者に低減策を義務づける。想定を超えた大事故が起きないことを前提とした従来の安全規制からの転換となる。

 過酷事故につながる原因には大規模な自然災害、航空機墜落、テロが挙げられている。政府はこれまで電力事業者の自主的な取り組みに任せていたが、福島事故で全電源の長時間喪失を想定しなかったなど対策の甘さが露呈。自主規制の限界が明らかになり、政府は昨年6月、国際原子力機関の閣僚会議に提出した事故報告書で法制化を打ち出していた。

 過酷事故対策は、規制委が今年度末に骨格を示す新たな安全基準の柱の一つ。原発再稼働で求められる前提条件になる。具体的には事故時の対策拠点となる免震事務棟の整備などが想定され、来年7月にも正式決定する。

 規制委は、効果的な対策を講じるため、大事故が起きる確率をどこまで抑えるかを示した「安全目標」を設定する方針。具体的な値は今後検討するが、事業者にこの値を下回るよう、リスク低減策を求めることになる。この日の会合では、過酷事故対策の法制化を含めた新たな安全基準の検討にあたり、外部の専門家を交えたチームを作り、公開の場で議論することを決めた。

 欧米はすでに安全目標を策定している。日本は規制委の前身である原子力安全委員会の専門部会で検討。交通事故で死亡するリスクは年1万分の1程度とされるが、03年12月に「原発事故の被ばくで死者を出す危険性を年100万分の1以下に抑える」との中間とりまとめ案を示した。しかし、それ以降はたなざらしになっていた。

 国会事故調査委員会委員を務めた規制委の大島賢三委員は「シビアアクシデント対策が後手に回り事故が起きた。自然現象やテロ対策まで広くカバーし、国際的に後れを取らないものにする必要がある」と述べた。【岡田英、中西拓司】

http://mainichi.jp/select/news/20121010k0000e040222000c.html