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アレバCEO、原子力の将来に楽観(WSJ)
2011-06-01 13:03:53
【パリ】日本の原発危機の影響が尾を引くなか、仏原子力大手のアレバは依然として、世界で原発推進が復活することに期待している。
ドイツは30日、福島原発事故を受け、2022年までに原子力発電所をすべて停止すると発表した。主要先進国で脱原発を決定したのはドイツが初めてであり、今後アレバの中核事業に打撃を与える可能性がある。
各国政府が原子力政策の見直しを迫られるなか、アレバのアンヌ・ローベルジョン最高経営責任者(CEO)は、その地位を守るため、そして自身が育て上げてきた原子力事業の評判を守るため、各方面に対する働きかけを続けている。
同氏はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで「福島原発事故の発生後でも、世界が原子力を全面的に否定しているのではない。単に、原子力が全ての国に適しているわけでないということだ」と述べた。
環境問題を引き起こす化石燃料と再生可能エネルギーだけに依存するか、それとも、最大限の投資を行って安全性を向上させた原発計画に戻るか。原発は、有権者の反感を買う可能性もある。世界各国は今、難しい問題に直面している。そして、世界最大の原子力複合企業の一つ、アレバの将来は今後の各国のエネルギー政策の行方に左右される。
ウラン採掘から核廃棄物処理まで手掛けるアレバは過去10年間、同社が超安全と主張する原子炉を設計するために莫大な金額を掛けてきた。
アレバの最新原子炉の価格は一基当たり約60億ユーロ(約7000億円)。多くのアナリストと顧客の一部からは、高すぎて競争力がないとの声が聞かれる。ローベルジョン氏は安全性の強化にお金を払いたがらない投資家が一部存在する状況について、「常軌を逸した世界だ」と語る。
日本の原発危機への反応は様々である。スイスとドイツはいち早く脱原発を決定したが、英国やポーランドなどの国々はエネルギー源として原発を維持している。コンサルティング会社ユーラシア・グループのエネルギー・アナリスト、ウィル・ピアソン氏は30日に発表した報告の中で、中国、インド、ブラジル、といった「成長市場において、(原子力)産業の将来は比較的明るい」と指摘している。
ローベルジョン氏はドイツの決定を「政治的」と評価し、「今から、同国の最後の原発が停止する予定の2022年までの間に」状況が大きく変わることもあるとの見方を示している。アレバの昨年の売上高91億ユーロのうち、約10%はドイツから計上されたものである。
また、日本の原発危機にもかかわらず、中国、インド、南アフリカなど、エネルギー需要の旺盛な新興国は引き続き原子力に投資するとみている。安全性がさらに強化された原子炉のためならば、新興国の公益事業体は喜んで、より多くのお金を払うだろうと、同氏は期待しており、「福島原発事故後の状況は、チェルノブイリやスリーマイル島の後と同じではない。現在、化石燃料の価格は当時より高いし、これからもますます高くなっていくだろう」と指摘する。
欧州委員会の広報担当者は「ドイツとイタリアは脱原発を選択したが、欧州の多くの国々はその原子力政策を覆してはいない」と指摘した上で、「長期的に見れば、原子力はエネルギー源の一つとして存在し続けるだろう」と述べた。
福島原発危機の発生以来、アレバの株価は16%下落している。ただ、同社業績に対する同危機の悪影響は短期的なものになる可能性が大きい。
日本とドイツで原子力政策が見直されていることから、同社は両国の原子炉へのウラン供給契約を失うことになるだろうと、ローベルジョン氏はみている。一方、各国政府が原子力の安全性を再評価するなか、原発計画は半年から9カ月遅れる可能性もある。しかし同氏によると、フランス北部、フィンランド、中国で同社が建設している原子炉に影響が出ることはないという。
同社は今後数週間中に財務見通しを公表する予定だ。
ドイツは30日、福島原発事故を受け、2022年までに原子力発電所をすべて停止すると発表した。主要先進国で脱原発を決定したのはドイツが初めてであり、今後アレバの中核事業に打撃を与える可能性がある。
各国政府が原子力政策の見直しを迫られるなか、アレバのアンヌ・ローベルジョン最高経営責任者(CEO)は、その地位を守るため、そして自身が育て上げてきた原子力事業の評判を守るため、各方面に対する働きかけを続けている。
同氏はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで「福島原発事故の発生後でも、世界が原子力を全面的に否定しているのではない。単に、原子力が全ての国に適しているわけでないということだ」と述べた。
環境問題を引き起こす化石燃料と再生可能エネルギーだけに依存するか、それとも、最大限の投資を行って安全性を向上させた原発計画に戻るか。原発は、有権者の反感を買う可能性もある。世界各国は今、難しい問題に直面している。そして、世界最大の原子力複合企業の一つ、アレバの将来は今後の各国のエネルギー政策の行方に左右される。
ウラン採掘から核廃棄物処理まで手掛けるアレバは過去10年間、同社が超安全と主張する原子炉を設計するために莫大な金額を掛けてきた。
アレバの最新原子炉の価格は一基当たり約60億ユーロ(約7000億円)。多くのアナリストと顧客の一部からは、高すぎて競争力がないとの声が聞かれる。ローベルジョン氏は安全性の強化にお金を払いたがらない投資家が一部存在する状況について、「常軌を逸した世界だ」と語る。
日本の原発危機への反応は様々である。スイスとドイツはいち早く脱原発を決定したが、英国やポーランドなどの国々はエネルギー源として原発を維持している。コンサルティング会社ユーラシア・グループのエネルギー・アナリスト、ウィル・ピアソン氏は30日に発表した報告の中で、中国、インド、ブラジル、といった「成長市場において、(原子力)産業の将来は比較的明るい」と指摘している。
ローベルジョン氏はドイツの決定を「政治的」と評価し、「今から、同国の最後の原発が停止する予定の2022年までの間に」状況が大きく変わることもあるとの見方を示している。アレバの昨年の売上高91億ユーロのうち、約10%はドイツから計上されたものである。
また、日本の原発危機にもかかわらず、中国、インド、南アフリカなど、エネルギー需要の旺盛な新興国は引き続き原子力に投資するとみている。安全性がさらに強化された原子炉のためならば、新興国の公益事業体は喜んで、より多くのお金を払うだろうと、同氏は期待しており、「福島原発事故後の状況は、チェルノブイリやスリーマイル島の後と同じではない。現在、化石燃料の価格は当時より高いし、これからもますます高くなっていくだろう」と指摘する。
欧州委員会の広報担当者は「ドイツとイタリアは脱原発を選択したが、欧州の多くの国々はその原子力政策を覆してはいない」と指摘した上で、「長期的に見れば、原子力はエネルギー源の一つとして存在し続けるだろう」と述べた。
福島原発危機の発生以来、アレバの株価は16%下落している。ただ、同社業績に対する同危機の悪影響は短期的なものになる可能性が大きい。
日本とドイツで原子力政策が見直されていることから、同社は両国の原子炉へのウラン供給契約を失うことになるだろうと、ローベルジョン氏はみている。一方、各国政府が原子力の安全性を再評価するなか、原発計画は半年から9カ月遅れる可能性もある。しかし同氏によると、フランス北部、フィンランド、中国で同社が建設している原子炉に影響が出ることはないという。
同社は今後数週間中に財務見通しを公表する予定だ。