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「新たな規制を根付かせる年」 原子力規制委員会田中委員長が年頭所感(NRA) 新たな安全基準を既存原発にも適用

2013-01-01 12:34:27

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NRCh25_shinnen年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。昨年を振り返ってみますと、9月の発足以来、多くのみなさまのご理解とご協力を賜り、委員会運営を一定の形にすることができました。改めて御礼を申し上げます。

東日本大震災と東京電力福島原子力発電所事故の発生から、間もなく1年10ヶ月が経ちます。復興への取り組みが続く一方で、新しい年を迎えるこの時も、多くの方々が故郷を離れ、避難先で不自由な生活をされていることに胸が痛みます。

「原子力事故で苦しむ人を、もう二度と作ってはいけない」。幾度も重ねた思いを、今また強くしているところです。

原子力規制委員会にとって、今年はとても重要な1年です。

年の前半は、新基準の策定が最優先事項になります。まず基準の骨子をお示ししたうえで、広くご意見をいただき、発電用軽水炉について7月までには新基準をまとめなければなりません。率直に言うと、世界のレベルから見て日本の基準は不十分だったという反省があります。その遅れを取り戻すために、科学的に冷静で厳しい判断を行い、決定機関としての責任を果たして参りたいと思います。

また、基準を作れば終わりではありません。そこからが本当の規制のスタートです。バックフィット制度が導入されることで現場は大きな変革が必要です。施設の安全性が絶えず保たれるよう、規制の実施主体として現場の変革を積極的に促して参ります。

また、4月にはこれまで原子力委員会が所管してきた核物質防護と、文部科学省が所管してきた保障措置の機能が、原子力規制委員会の下に移管され、「セーフティー、セキュリティー、セーフガード」の3Sが一元化されます。原子力の分野を広く見渡しながら、有効性の高い取り組みを進めます。

その後、世界の規制機関から代表者を招いて、INRA(国際原子力規制者会議)を主催します。国際的にも注目が集まっている日本の取り組みを報告し、意見を求めるとともに、規制のあり方について議論を主導していきたいと思います。

事故の教訓を踏まえて、具体的な基準として確立し、大きく深い根を張るための最初の1年。各委員と原子力規制庁の職員と共に大切に過ごして参りたいと思います。今年もよろしくお願いします。



平成25年元旦       原子力規制委員会委員長       田中俊一


http://www.nsr.go.jp/nra/h25_shinnen.html