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手抜き除染の元請ゼネコン、いずれもCSRで「社会的責任」を強調(FGW)

2013-01-05 22:20:02

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oobayashisiteLogo福島県内での放射性物質の除染事業をめぐり、請負業者の一部が、汚染土壌や汚染された樹木、草木などを川などに投棄していた疑いが出ている問題で、環境省から除去事業を請け負った元請のゼネコン各社は、企業の社会的責任(CSR)を強調していたことがわかった。鹿島、大林組、大成建設、前田建設工業の4社。いずれも協力会社と呼ぶ下請け等への指導や協力をうたっているところもある。掲げたCSRの実践が求められる。

このうち鹿島は、CSR方針の中で、「建設業にとってのサプライチェーンは資機材もさることながら、協力会社を中心とする現場内でともに竣工を目指す人的資源に拠るところが非常に大きいのが現実です。鹿島では、外部機関や独自の制度を活用した協力会社の評価・管理を行い、適正な施工能力のある協力会社を選定して工事を進めています。また、技術者の確保や育成支援を行うことで、共存共栄を目指しています」と、下請け、孫請けを選別し、同社全体での管理を実践していると 胸を張っている。taiseikensetsuindex_logo001

前田建設工業は、CSR方針で「社会・顧客から必要とされる企業」を目指す、としている。また、安全への取り組みの基本理念では「安全は会社の良心である」と指摘している。手抜き除染事業によって、国土、国民の安全が脅かされることは、この基本理念に照らして、どう釈明するのだろうか。maedakensetsulogo

大成建設は、「人がいきいきとする環境を創造する」「事業を通じて、持続可能な社会づくりに貢献していきます」とCSRの基本姿勢を、山内隆司社長自らが宣言している。手抜き除染事業で、社会の持続可能性を脅かしていることについて、5日現在、HPでは何の説明もなされていない。kashimaimages



大林組も、協力会社で組織する林友会と各地で定期的に情報交換を行い、品質、安全、コンプライアンスなどの向上をめざしている、とHPで強調している。協力会との交流は、営業活動において陥りやすい法令違反を防ぐために、情報交換の場で、法律の内容を交えて詳しく紹介し、正当な業務活動の源はコンプライアンスの徹底であることを再確認している、と説明している。

これら4社のCSR報告書に目を通すと、企業の社会的責任活動のプラスの側面ばかりが強調され、今回のようなサプライチェーンのリスクについては、ほとんど触れられていない。また、第三者の有識者による検証やステークホルダー対話なども掲載しているが、第三者と称する人からも、ほとんど問題指摘がなされていない。まさに“CSRウォッシュ”の典型業界といえる。ゼネコン各社は、事業の受注で談合に陥りやすい体質を抱えているうえに、事業の多くを下請け、孫請けに出す経営体制のところが多い。コンプライアンスの徹底と、サプライチェーン全体をカバーするガバナンス体制の構築が求められる。

大林組のCSR取組み:http://www.obayashi.co.jp/csr/news20120105_1

鹿島のCSR取組み:http://www.kajima.co.jp/csr/index-j.html


大成建設のCSR取組み: http://www.taisei.co.jp/about_us/csr/index.html

前田建設工業のCSR取組み:http://www.maeda.co.jp/csr/