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宮城沖、22年間「静穏期」 大地震の前兆? 北大地震研(河北新報)

2011-06-17 14:45:44

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東日本大震災の震源となった宮城県沖のプレート(岩板)境界付近で、約22年前からマグニチュード(M)4.5以上の地震の発生率が半減する「静穏期」がみられたとの解析結果を、北海道大地震火山研究観測センターの勝俣啓・准教授(地震学)が16日までにまとめた。
 同様の静穏化は、1990年前後から千葉県・房総沖や四国沖でも認められるという。勝俣准教授は「大きな地震の前兆の可能性もある。地殻変動の変化など今後の推移を注視したい」と話している。  
 巨大地震の前の静穏化は、52年の旧ソ連・カムチャツカ地震(M9.0)や、64年のアラスカ地震(M9.2)などでもみられたという。
 調査は、北海道沖から伊豆諸島にかけての太平洋側のプレート境界付近を約5キロ四方の格子に区切り、格子ごとに深さ60キロより浅い部分で65年から2010年に起きたM4.5以上の地震5770を分析した。
 その結果、大震災の震源域で最も大きな断層破壊が起きた宮城沖付近では、M4.5以上の地震が65年以降年平均3.0回前後起きていたが、89年以降年1.5回程度に半減したエリアが存在することを確認した。
 同じ手法で調査した結果、房総半島沖や、紀伊半島付近から日向灘にかけての四国南沖のプレート境界周辺でも90年ごろから、ほぼ同じレベルの地震の静穏化が認められた。勝俣准教授は「揺れを伴わない断層運動の『ゆっくり滑り』が始まり、地震が減った可能性がある」と指摘した。

<ゆっくり滑り>プレート(岩板)境界や地下の断層が地表に大きな揺れをもたらさないまま、比較的長い期間をかけてゆっくりずれ動く現象で「スロースリップ」「ぬるぬる地震」とも呼ばれる。ずれた部分はひずみが減少して地震が減る一方、周辺は逆にひずみがたまり、地震が起きやすくなると考えられている。近年、衛星利用測位システム(GPS)の地殻変動観測により各地で検知されるようになった。東海地震の想定震源域付近でも2001~05年に観測されたが、東海地震に至らないまま終息した。