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関電大飯原発 新原発規制基準案に不適合 防潮堤や作業拠点 規制委の判断焦点に(東京)

2013-04-11 12:18:01

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ooiPK2013041102100047_size0七月に施行される原発の新しい規制基準案を、原子力規制委員会が十日示した。想定できる最大級の津波を防ぐ防潮堤や、地震や放射能に耐える作業拠点の整備など数多くの設備が要求されるが、唯一稼働中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)は、新基準の施行段階ではその多くを満たしていない。規制委はどう判断するのか。 (大村歩)


 大飯原発は九月に定期検査に入るが、七月に基準不適合となるのは明らかで、運転停止となって当然。だが、規制委の田中俊一委員長は「総合的に判断する」と述べ、九月まで運転を認める可能性を示す。




 新基準がすぐに適合を求める基準は、防潮堤や作業拠点の整備のほか、原発内の熱を海に逃がす海水ポンプの防護、独立した二つの外部電源回線の確保など多岐にわたる。




 大飯原発ではどうなのか、主な項目を見ていくと、七月時点では基準を満たしていない部分が多い。




 作業拠点が完成するのは二〇一五年度中で、関電はそれまでは、代わりの施設として3、4号機の中央制御室の横にある会議室をあてるとしている。




 しかし、中央制御室は原子炉に近い。新基準は、作業員の被ばく線量を最小限に抑えて、食料や飲料水も十分に備蓄するよう求めているが、「会議室」に専用施設の代わりが務まるかは疑問がある。




 関電は既存の防潮堤を数メートルかさ上げして新基準に対応する考えだが、想定すべき最大級の津波の規模を検討するのはこれからだ。




 テロや過酷事故の際に通常の制御室とは別に、独立して原子炉を制御・冷却できる「第二制御室」の要求については、五年以内に整備すればよいと猶予期間が設けられた。




 だが、ほかにも七月には到底、適合が間に合わなさそうな項目がいくつもある。




 田中氏は「大飯は対策が進んでいる」「(津波よりも)原発の敷地が高い」など予断を持った発言を繰り返す。




 十日の記者会見では、一月に「基準を満たしていない場合は、運転を止めてもらう」と発言したことを問われ「どう言ったか覚えていない」とはぐらかし、どんな重大な不適合があれば運転停止を命じるのか問われても「精査してみないと分からない」と述べるにとどまった。




 規制委が自ら決めた新基準。初めて判断を迫られる大飯原発で、例外扱いがまかり通れば、規制委への信頼が大きくゆらぐのは間違いない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013041102000130.html