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再生願い称号に「福島」 原発事故後の新設企業(河北新報) がんばれ!

2013-04-12 16:13:26

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fukushima20130411036jd福島第1原発事故後、称号に「福島」「ふくしま」「FUKUSHIMA」と付ける新設企業、団体が福島県内で増えている。原発事故の風評被害を避けようと、福島の名称を敬遠する風潮が根強い中、あえて福島と名乗り、事業を通じて福島県再生の一翼を担おうとする経営者の意気込みが見て取れる。

東京商工リサーチ福島支店によると、2012年1~9月に福島県内で設立された企業、団体は932で、うち称号に福島、ふくしま、FUKUSHIMAと冠したのは79社・団体に上る。11年1~12月では設立が801のうち、34にとどまっていた。

 
称号例は表の通り。業種別はサービス業、非営利団体が14ずつで最も多く、発電所12、産業廃棄物処理・除染関連業8、農業7、建設関連業6と続く。復旧、復興、再生可能エネルギー、除染関連の業種が目立つ。

 
地域別は福島市29、郡山市23、いわき市6など。名前に「負けないぞ」などと復興の意思を示す言葉も取り入れる団体もある。
福島市の「福島未来農業生産組合」は12年4月に設立した。農家の高齢化で耕作できなくなった水田で稲作を請け負う。前身団体の名は「水原生産組合」と地区名から取ったが、法人化を機に「福島」を採用した。
丹野友幸代表(37)は「福島という言葉から逃げたくない。福島を名乗る会社が大きな仕事をすることが復興の礎になる」と話す。福島の称号を避ける傾向は食品を扱う業界に特に強いが、「福島の食品は放射性物質検査が徹底されて安全性が高く、かえって自信がある」と言う。

 
いわき市で12年9月に始業したのは「ふくしま和郷園」だ。植物工場の栽培効率化を指導する。佐藤晴一社長(45)は「リスクはあるが、農業は人と人とのつながりで、地元の商売仲間を見捨てるわけにいかない。世話になった福島に基盤を置き、恩返ししたい思いを社名に込めた」と語る。

 
東京商工リサーチ福島支店の花輪康弘支店長は「復興、除染関連の社が多く、福島を再建したい経営者の気持ちの表れではないか」とみている。

 

http://www.kahoku.co.jp/news/2013/04/20130412t65022.htm