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放射性物質の拡散予測(SPEED)、運用改善へ民間参入 政府が方針 (各紙)

2013-04-18 16:29:53

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Fukushima7_25-3_15-16-speed政府は原発事故の際に放射性物質がどのように拡散するかを予測するシステム(SPEEDI)の機能更新・強化や管理業務を、民間企業にも開放する方針だ。これまでは特定の政府系機関(財団法人)が独占していたが、官と民で競わせて担い手を決める「市場化テスト」の対象にして、早ければ2015年度から大手システム会社などが参入できるようにする。

 

政府は、SPEEDIの業務を民間開放するのは、コスト低減と運用の改善、が主な理由としているが、2011年3月の東京電力福島第1原発事故の際には、原発の電源がすべて失われた影響で必要なデータを受け取れなかったうえ、仮定値で計算した結果も公表が遅れ、住民の避難に生かされなかった苦い経験も踏まえている。「お役所仕事」で本当に必要な時に機能しなかった。


 SPEEDIは放射性物質の放出量などを入力し、拡散状況を地図に示して住民の避難に生かす目的で1986年に運用を始めた。政府は今年2月に国の原子力災害対策指針を改め、SPEEDIの位置づけを修正した。従来は行政が住民の避難指示に活用する目的だったが、今後は避難する方角を検討する際の参考になるよう、一般に情報を提供することにした。




 SPEEDIの投資額は約120億円。09年度以降は一般競争入札にかけてきたが、実際は、環境省所管の財団法人である原子力安全技術センター以外は応札していない。このため内閣府の官民競争入札等監理委員会は、公正な入札環境が整っていないと判断し、市場化テストの対象に加え、適切な入札条件の整備を環境省や原子力規制委員会に求めることにした。