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「原発事故 収束していない」 野村元国会事故調委員に聞く 政府は被災者支援に全力を(福島民報)

2013-05-12 22:03:37

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nomurashuya479190_c450国会が設置した東京電力福島第一原発事故調査委員会の委員だった野村修也氏(51)は11日、福島民報社のインタビューに答え、「原発事故はまだ収束していない」との認識を示した。さらに政府は事故収束、被災者支援に全力を挙げるべきと強調した。
-「原発事故は人災」とした委員会報告書をどのように生かすべきか。

 
「報告書で7つ提言したうち、衆院の原子力問題調査特別委員会の設置がようやく実現した。われわれは、目の前の課題を政府の責任で対応することを求めている。政府はまず、今も続いている事故を収束させるべき。時間の経過で事故が収束したと勘違いしがちだが、廃炉作業が終わるまで高度な緊張感を持ち続けなければいけない」

 
-原発事故の教訓は。
「最大の反省点は『起こる可能性があるものを起こらない』と信じ込んできたことだ。事故が起きた後の対策も不足していた。原発近くの国のオフサイトセンター(政府原子力災害現地対策本部)が機能せず、場当たり的な対応になった。これまで放射能が原発の外に漏れることはないと信じ込まされてきたため、オフサイトセンターが使えない場合の対応策は一切考えていなかった。その結果、情報が錯綜(さくそう)し、無用な被ばくなどを招いた」

 
-被災者支援に向け、政府に求められていることは何か。
「政府は被災者が事故前の状態に戻れるように最大限努力すべきだ。少なくとも、将来の道筋を示さなければいけない。避難者は従来の場所に戻るのか、新しい生活拠点を持つのかを選択することになる。政府は、その選択がしっかりできるように情報提供し、被災者がどの道を選んでもサポートする態勢を整える必要がある」

 

-原発事故後、原子力規制委員会が発足した。

「委員会そのものに独立性はあるが、支えている事務局は(事故前の)保安院そのままだ。人も変わっておらず、意識改革をしないと、元のもくあみになる。原子力規制庁の独立性と専門性を高めるため、さらに改革を進めないといけない」

 

■事故情報公開の問題点など語る 福島で講演

 

野村氏は11日、福島市の福島学院大・宮代キャンパスで講演し、東京電力福島第一原発事故の情報公開の問題点などを語った。

野村氏は原発事故直後、オフサイトセンターが機能しなかったため、政府と、経済産業省の旧原子力安全・保安院、東電の情報が一元化されず、情報が錯綜したと指摘。当時の枝野幸男官房長官の記者会見の発言にも触れ、「より強い言葉で避難を促すべきだった。そうすれば、住民が抱いている『被ばく量を減らせたかもしれない』との思いを軽減できたはずだ」と述べた。

 

情報公開の在り方の研究者でつくる日本ディスクロージャー研究学会で講演した。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/201305128356