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電事法廃案:電力改革秋に持ち越し 発送電分離後退懸念も 安倍政権 経団連の圧力で「第三の矢」も腰砕け(?)(毎日)

2013-06-27 00:04:05

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soudensendc07240111電力システム改革のための電気事業法改正案が26日、参院選を控えた与野党の国会駆け引きのあおりで廃案となった。電力改革を成長戦略の柱の一つとする安倍政権は秋の臨時国会に改正案を再提出する方針。しかし、改正案の成立先送りで、電力業界や与党の改革慎重派には巻き返しの余地が生まれた。参院選後の政治動向次第で、電力会社から送配電部門を分離する「発送電分離」など目玉の改革策が後退する懸念も指摘される。

 「国会で審議を尽くし与野党で成立に合意しながら、最終盤で廃案になったのは極めて残念。秋の臨時国会で必ず成立させる」。茂木敏充経済産業相は26日、改正案成立に改めて意欲を示した。

 改正案は大手電力会社による地域独占体制を崩す戦後最大の電力改革の入り口に当たる法案。改革方針はもともと2011年の東京電力福島第1原発事故などを受けて民主党政権が検討。昨年末の自民党への政権交代後、安倍政権が改革方針を引き継ぎ、電事法改正案を仕上げて、4月に国会に提出した。

 改正案は15年をめどに全国規模で電力を融通する「広域系統運用機関」の創設が柱だが、付則には16年の電力小売りの全面自由化や、20年までの発送電分離の実現など改革全体の工程表が盛り込まれている。家庭向けも含む電力小売りの全面自由化は電力会社間の競争を促すことでサービスの選択肢を広げ、電力料金抑制につなげる狙いがある。また、発送電分離は大手電力の地域独占体制を崩すための“本丸”の改革策で、経産省は今国会で改正案を成立させ、改革の道筋を付けたい考えだった。

 安倍政権は省エネビジネスなど新規産業創出も期待できる電力改革をアベノミクスの成長戦略の柱に位置づけており、参院選後の秋の臨時国会で改正案を成立させる方針だ。経産省は「今秋に成立すれば、15年の系統機関設立も可能で、電力改革のスケジュールに致命的な遅れは出ない」(幹部)としている。

 ただ「発送電分離」については、電力業界が反対姿勢を崩していない。さらに、自民党内でも「電力安定供給には発電と送配電を一体的に行う方が望ましい」(ベテラン議員)との慎重論が根強い。参院選後の改正案の国会再提出をめぐっては、改革を骨抜きにしようとする動きが出てくることも予想される。【大久保渉】

 

http://mainichi.jp/select/news/20130627k0000m020079000c.html