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「線量超え授業回避を」仮処分申請 郡山市、却下求める(河北新報)

2011-07-20 14:28:39

福島第1原発事故による放射線が子どもの健康に影響を与えるとして、福島県郡山市の小中学校に通う児童と生徒計14人の父母が、同市に1年間の積算被ばく線量が1ミリシーベルト以上の場所で授業をしないよう求めた仮処分の第2回審尋が19日、福島地裁郡山支部であった。
 市は答弁書を提出して「文部科学省の指針に沿って放射線量を削減する努力をしている。低線量被ばくが健康に及ぼす影響は明らかになっていない」などと主張し、申し立ての却下を求めた。
 申立書によると、子どもたちが通う7校の放射線量を文科省のデータから試算すると、1年間で3.80~6.67ミリシーベルトに達し、国際放射線防護委員会(ICRP)が一般人の線量限度として定める年間1ミリシーベルトを超え、危険だと主張。安全を確保するためには「集団疎開」が必要だと訴えている。

◎母苦悩「県外移住…家庭の事情で無理」

 福島地裁郡山支部に仮処分を申し立てた郡山市内の女性2人が、19日までに河北新報社の取材に応じた。
 2人とも、子どものために放射線量が低い県外などへ移りたいという希望を持っていたが、家庭の事情などで当面はできないという。
 放射線は、2人の子どもたちが通う学校の生活にも微妙な影響を及ぼしている。親から言われて給食の福島県産牛乳を残す子どもがいるが、理由を正直に言えないという。仲間はずれにされるのを恐れているからだ。
 1人の女性は以前、県外の実家に子どもと2人で避難しようとしたが、「家族全員、一緒じゃないと駄目」と親から断られた。会社員の夫は年齢的にも県外で再就職するのは困難だという。
 福島第1原発事故後、郡山市の学校からは県外への転校者が続出し、小中学生計553人(6月7日現在)に上った。
 女性は「お金や引受先、仕事の都合がつく人は県外に出られる。でも、そうした人ばかりではない」と語る。
 もう1人の女性も、家族が離れて暮らすことになっても、避難しようと考えたという。だが、友人から「家族がばらばらになるくらいなら、親子で心中するつもりで残る」と言われた。
 女性は今、住み続ける気持ちになりつつある。それでもなお、放射線量が高いと分かっている地域に居ることに、割り切れない思いを抱いている。
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/07/20110720t63019.htm