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東芝製 鳴り物入りの放射能除去設備「多核種除去装置(アルプス)」 全く機能せず 試験運転中止へ 汚染水処理対策大ピンチに(各紙)

2013-07-26 19:00:00

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この膨大な装置が、実は全くのウドの大木だった。東芝の技術もこの程度政府と東京電力は、福島第1原発の廃炉対策推進会議を開き、放射性汚染水から62種類の放射性物質を取り除くために設置した多核種除去装置「アルプス」について、水漏れトラブルなどの不具合が生じていることから、8月上旬から約1カ月半、試験運転を停止することを決めた。この結果、推計約2万立方メートルの汚染水処理が遅れる見通し。

 アルプスは東芝が鳴り物入りで開発した福島原発事故処理のための特別の装置。A〜C系の計3基あり、A系は4月から試験運転したが、6月にタンクの腐食による水漏れトラブルが発生したため、東電が原因を調べていた。その結果、原因の解明と修理のために、8月初旬までにすべての運転を停止させ、腐食防止のゴム処理などをしたうえで9月中旬には1基目の運転再開を目指している。

 この間、アルプスによって処理できない汚染水が増加するためとりあえず地上タンクへ移送するという。しかし、移送先のタンクは原発の敷地境界に近く、周辺の放射線量の増加が懸念されている。
 アルプスは、放射性トリチウムは除去できないが、汚染水に含まれる多くの種類の放射性物質のほか、有機物などを除去するという。また、マグネシウムやカリウムなどのアルカリ性金属も取り除かれることになっている。東電の発注で東芝が受注、昨年3月から建設を開始し、約1年かけて完成させた。ただ、東電は建設費用について「契約上答えられない」としか回答していない。

東電によると、アルプスには3系統に汚染水を入れるタンクが二つずつ設置されており、汚染水の水漏れ発覚で同系統のタンクを調べたところ、最初に穴が見つかったタンクと同様、溶接したつなぎ目部分にピンホール大の穴があったという。
 巨額の費用を投じたはずの設備も、アリの一穴ともいえる複数の穴が開いていて、操作できない状況に陥ってしまったことになる。東芝の製造上の責任なのか、あるいは東電の管理上の責任なのかを、明確化する必要がある。

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