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東日本大震災:福島第1原発事故 賠償金返還要求、福島県弁護士会が調査 東電和解拒否、新たに2件(毎日)

2014-01-18 23:48:01

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’ʏí福島第1原発事故の損害賠償を巡り、東京電力が政府の「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)の示した和解案を拒否している問題で、福島県弁護士会(小池達哉会長)が実態調査に乗り出したことが分かった。新たに2件の和解拒否例があることも毎日新聞の調べで判明。事業計画などに「和解案の尊重」を掲げながら、実際には正反対とも言える東電の姿勢に批判が高まっている。

毎日新聞は今月4日、東電が被災社員にいったん支払った賠償金を事実上返還するよう要求しているケースについて、原発ADRが東電の主張を退け、数百万円の支払いを命じる和解案を示したのに東電が拒否した事実を報じた。同弁護士会は報道を受け調査の実施を決め、今月15日付で会員弁護士177人に照会文書を送った。

同弁護士会は昨年9月、国に対し、和解案を拒否しないよう東電を強く指導するよう求める会長声明を出している。

このため、照会文書は「報道の通りであれば、これ(国による指導)が果たされていない」と問題視したうえで、和解案拒否事例に関する情報を提供するよう求めている。

関係者によると、新たに判明した2件の拒否例は、いずれも現地に勤務する東電社員に関するもの。立ち入り制限された場所に自宅があり、避難を余儀なくされているのに賠償を打ち切られている。

和解拒否は社員以外にも及び、福島県飯舘村長泥地区の住民についても拒否例があることが既に判明している。

賠償は、被災者の申し立てを受けた東電が金額を算定し提示する。これに不服がある被災者は原発ADRに申し立てる。その後示される原発ADRによる和解案には強制力がないが、東電は今月15日に発表した「新総合特別事業計画」に賠償に関する「3つの誓い」を盛り込み、そのうち一つに「和解案の尊重」を掲げている。

同弁護士会の若杉裕二副会長は「東電が和解案を拒否すると、被災者は訴訟を起こすなど大きな負担を強いられる。調査結果をみて会としてさらに対応が必要かどうか検討する」と話している。

毎日新聞は東電に和解案拒否件数を尋ねたが、広報部は「複数ある」とだけ回答した。【高島博之、神足俊輔】

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■ことば

 ◇原発ADR


原発事故による賠償に関する国の指針を策定する「原子力損害賠償紛争審査会」の下部組織。裁判外で紛争解決手続きを行う。仲介委員と調査官(いずれも弁護士)が申立人と東京電力から言い分を聞き、和解案を提示する。金融取引に関わる裁判外の紛争解決制度(金融ADR)で示される「特別調停案」は法律上、金融機関に受諾義務が課されているが、原発ADRには強制力がない。

 

http://mainichi.jp/shimen/news/20140118dde001040056000c.html