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改正電気事業法成立 2016年に電力小売事業全面自由化 新規参入電力の競争条件確保が課題(毎日)

2014-06-11 15:11:04

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TEPCO20130201a2016年をめどに電力小売りを全面自由化する改正電気事業法が11日、参院本会議で自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決、成立した。大手電力10社が営業区域ごとに電力販売を独占している仕組みを完全になくし、家庭など小口の利用者も電力会社を自由に選べるようにする。電力会社間の競争を本格化させることで、電気料金の抑制やサービスの多様化を促す。

電力小売りは00年以降、段階的に自由化され、現在は工場や商業施設など50キロワット以上の大口消費者への販売は大手電力10社以外にも認められている。全面自由化により、国内16兆円の電力市場のうち、家庭・商店向け7兆5000億円(顧客数8420万件)市場への参入規制がなくなる。異業種からの新規参入組などの新電力や、大手電力による営業区域をまたいだ「越境販売」が相次ぎそうだ。

利用者は、料金やサービスの違う複数の電力会社の中から契約先を選べるようになる。「再生可能エネルギーで発電している電力会社から買いたい」などの要望に応えられるようになる可能性もある。

ただ、これまで自由化された大口市場のうち、新電力のシェアは4%に過ぎず、大手とわたり合える状況にはなっていない。圧倒的なシェアを持つ大手が、自由化によって逆に電気料金を安易に引き上げる恐れもある。そのため、競争環境が整うまでの経過措置として、大手に対する家庭向けの料金規制は当面、継続する。大手に対しては、離島や過疎地を含めた全国への電力供給を義務づける代わりに、送配電部門に限り、地域独占を認める。

一方、東京電力福島第1原発事故後の原発停止により、大手の経営体力は弱っている。市場の自由化とともに、大手が担っていた電力の安定供給をどう維持していくかも課題になる。

政府は昨年4月、電力市場の自由競争を促す3段階の電力システム改革の基本方針を決定。昨年の臨時国会で成立した第1弾では、全国的な電力需給の司令塔となる「広域的運営推進機関」を15年をめどに設置することが決まった。今回の第2弾に続く第3弾として政府は、大手から送配電部門を18〜20年に分離する法案を来年の通常国会に提出する方針。【中井正裕】

http://mainichi.jp/select/news/20140611k0000e020203000c.html