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石破自民党幹事長 「原発再稼働なければ未来ない」と主張。 経済実態も、電力政策の不備も無視 「未来のないのは自民党」(FGW)

2014-08-04 22:40:46

軍事論は得意だが、経済を語らせると穴だらけ
軍事論は得意だが、経済を語らせると穴だらけ
軍事論は得意だが、経済を語らせると穴だらけ


各紙の報道によると、自民党の石破茂幹事長は4日、神戸市で開いた講演で、原発政策に触れ、「世界で一番厳しい基準をクリアした原発は、その地域の方々が納得することを条件に再稼働していかないと、この国の未来はない」と述べた。

 

石破幹事長は、その理由として、火力発電用の燃料輸入増による貿易赤字拡大を挙げたほか、「これ以上電気料金が上がると、経営が立ち行かない中小零細企業がたくさんあるはずだ」とも指摘した。

 

だが、こうした論法はすでに破たんしている。原発停止後、電力会社は火力発電用の天然ガスの輸入に力を入れている。このため、2013年の輸入金額は、福島事故時の2011年に比べると、36%の増加となっている。しかし、輸入量は5%の増加にとどまっている。この間に、天然ガスの価格が上昇したことと、アベノミクスの影響で円安が急速に進んだことによって、輸入金額が増大、貿易赤字拡大につながった。

 

したがって、物事を正確に表現するならば、石破発言は、「火力発電用燃料輸入増は5%に過ぎないが、市場価格の上昇とアベノミクスの反動で、貿易赤字が拡大した」となるべきものだ。この点は自民党の河野太郎氏が自らのブログで喝破している。http://financegreenwatch.org/jp/?p=45685

 

「世界で一番厳しい原発安全性基準」というキャッチフレーズが虚構であることは、すでに小泉元首相の指摘で明らかになっている。同氏は、「田中委員長が、『規制基準に合格しても、安全とは申し上げられない』と言っている。どこに本当の責任があるかがあやふやで、国の責任が曖昧だ」と批判している。http://financegreenwatch.org/jp/?p=45741

 

また、日本の安全基準に、住民の避難体制が全く考慮されていないことの問題点は、国際的にも指摘されている。

 

「これ以上電気料金が上がると経営が立ち行かない中小企業がたくさん出る」との説も、物事を真正面から見れば、暴論であることが一目瞭然である。民主党政権時に固定価格買い取り制度の導入を決め、その結果、今や、この国で唯一の成長産業市場となっている再生可能エネルギー発電市場は、内外からの参入が相次いでいる。特に太陽光発電については、国内の主な太陽電池メーカーの発電量予測では、早くも家庭用の発電コストは電力料金を下回る水準(グリッド・パリティを達成)にまでなっているという。http://financegreenwatch.org/jp/?p=45694

 

電力の小売市場での全面自由化をもっと前倒しして実施しておれば、家庭も、中小企業も、今ごろ、十分に電力価格の低下の恩恵を被ることができていたはずだ。それが遅れており、さらに、既存電力会社の値上げをやすやすと認めているのは、自民党政権そのものの既得権益者を優遇する政策の結果である。つまり、今、中小企業を苦しめているのは、ほかならぬ自民党であり、石破幹事長がその張本人の一人である。

 

そうした自覚のないまま、事務局がしつらえた下書きの演説を、さも得意げに話すこと自体、この人は、宰相の器ではないことを、自ら宣言しているようなものだ。「未来がない」のは、この国ではなく、自民党だろう。ただ、国民がこうした基本的事実を踏まえて、選挙に臨む姿勢になっているかが課題だ。